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はね駒 (ドラマ)

今週のはね駒は、1896年の明治三陸地震(と思われる)発生による被害が描かれている。被災孤児、物資の不足、さきの東日本大震災と重なるような描写が、ひときわ胸にささる内容だった。

りんの叔父・彌七と源造が商売でその地を訪れており、「安否を気遣う→ 源造と急接近」の展開は王道ラブストーリー。しかし今週最も気になっていたたまれなかったのは、りんのキリスト教仲間・中河鶴次とその一家のこと。

鶴次は生まれたばかりの念願の長男・鶴松を連れて、一家で宮城県志津川町へ帰郷する。"漁師の三男"という伏線が、津波被害を予測させる。しかも帰京前にりんに会っており、その際に麻の肌着姿で愛らしい鶴松の様子を視聴者に見せている。

そんなフラグ立ちまくり後の津波発生なので、もう悪い予感しかしなかった。

鶴次は運良く助かったのだが、家族は皆津波にのまれたことが婉曲にセリフで表される。その後、ボロボロな姿で実家の辺りを捜索する鶴次が目にしたのは、鶴松の麻の肌着...。

愛する家族を失い、自分ひとり生き残った無念。妻や娘だけでなく、生まれて間もない息子を死なせてしまった父親としての悔恨は、察するにあまりある。

ドラマだし、そういう展開は脚本通りだと十分解っているのだが、涙無くしては見ていられないシーンだった。

このドラマのリアルタイム放映は1986年なので、東北大震災より25年前となる。予測できなかったとはいえ、115年の時を隔てて同じ場所で同じような出来事が起こっていたのかと、改めてその悲劇を思った。



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