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グラディエーター(映画 2000)

賢帝アウレリウス死後のローマ帝国を舞台に、先帝に愛されたマキシマス将軍(ラッセル・クロウ)とそれを僻む皇太子コモドゥス(ホアキン・フェニックス)との闘いを描く歴史もの。

簡単にまとめるとこうなるが、そこに家族愛や仲間愛、政治、陰謀等が絡み、さらに戦場やコロッセオでのアクションが加わる盛りだくさんな娯楽大作映画である。
こういうスペクタクルものは映画館で見るべきで、20年前はその迫力を堪能した。
今回はリビングでのテレビ鑑賞で落ち着いて見られたせいか、より人物の気持ちにそって作品を楽しめた気がする。

とにかくマキシマス=ラッセル・クロウがカッコいい。
強いだけでなく情け深く、家族を殺された辛い気持ちを引きずって戦い続けるその姿。
もともとナイスガイのラッセル、魅力増し増しで全女性のハートをがっちりゲットしまくりである。

その分、敵役コモドゥス=ホアキンに憎悪の念が全集中したことだろう。
実在のコモドゥスも「賢帝愚息」「ローマ史上最低」「暴君ネロより最悪」と散々な叩かれっぷりだが、確かにその通りだと納得の熱演を見せるホアキン。
夭逝した兄・リバー・フェニックスの面影は少しも無いが、実力派俳優の片鱗を見せてくれる。

物語的には「とてつもない苦労からの栄光」という”鬼滅の刃”にも似た定番ものではあるが、壮大なセットと迫力のある画面構成、魅力あるキャラクターとその内面描写が素晴らしい。
「ブレード・ランナー」「テルマ&ルイーズ」そして「ブラック・レイン」といった名作で名高いリドリー・スコットの手腕は、この映画でも遺憾なく発揮されまくっている。

先のメインキャストふたりはさておき、今回特に目についたのが剣闘士の興行長・プレキシモだった。
元人気剣闘士だったが、先帝アウレリウスから栄誉解放された過去をもち、身体を張ってマキシマムを守る男。
荒々しくも豪胆さが魅力的なこの役を誰が演じているのか調べると、この映画の撮影中に急死したオリヴァー・リードとのこと。
20年ぶりに大作出演の彼。ロケ地で大酒を飲んで腕相撲をしたあと心臓発作で亡くなったとは、プレキシモを思わせる最期だと思う。
エンドロールに「TO OUR FRIEND / OLIVER REED」と出てくるのはそういう事だったのかと、納得と共にせつない気持ちになった。

悲しいシーンも多いこの映画だが、「国家とは何か、権力者はどのような行いをするべきなのか」と、今に通じるメッセージも感じる秀作だと思う。このような作品はこれからも多くの人に鑑賞されるべきであり、いろいろ感じてもらいたい。

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