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金澤翔子さん (よしなしごと)

縁あって、金澤泰子さんの講演を聴くことができた。泰子さんはダウン症の書家・金澤翔子さんのお母様である。

大河ドラマ「平清盛」の題字や、建長寺など様々なお寺に書が飾られ、東京2020オリンピックの公式ポスター制作アーティストにも選ばれている、金澤翔子さん。今回は翔子さんが席上揮毫もなさる、目の前でそれを見られる、素晴らしい講演会だった。

泰子さんは翔子さんがダウン症だと知った時、本当に辛くて、死ぬ事さえ考えたとのこと。ご主人も早くに亡くなり、様々なご苦労があったそうだが、いつも翔子さんの明るさと笑顔に救われたとお話された。と同時に、涙に暮れて辛い気持ちで育てた娘に、申し訳ない気持ちでいっぱいだったとも言っていた。

私の身近にダウン症の方はいないし、実際に育てるのは大変だっただろうなと、第3者の視点しか持てないが、翔子さんが明るく育ったのは泰子さんが愛情を注いだからに他ならないと思う。愛情は相対的なものだから、翔子さんの笑顔は泰子さんの笑顔でもあるのではないだろうか。

講演会の終盤で、翔子さんは大好きなマイケル・ジャクソンの曲でダンスしてくれた。アンコールではパプリカを元気に踊ってくれた。

「人を楽しませたい、喜ばせたい」そう思う気持ちの純粋さに、人は心打たれるのだろう。人間のもつ心の動きの不思議さを教えられた講演会だった。


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