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秋元康の歌詞の主人公たちについて

 皆さんは、48グループや46グループの曲は聴きますか?
 もし、お好きでしたら、曲の主人公の1人称は何を思い浮かべるでしょうか?
 「僕」でしょうか?
 「私」でしょうか?
 僕は、「僕」のイメージが凄く強いです。
 じゃあ、今度は「僕」は何歳ぐらいのイメージで聴いていますか?
 どこに住んでいる「僕」でしょうか?
 SKE48のシングルであった「あの頃の君を見つけた」の「僕」はちょっと上の年齢な気がしています。

 また、少し違った角度から考えると、欅坂46時代の平手友梨奈さんが歌う「僕」は、男性的な匂いがあまりせず、中世的なもっと広い範囲まで包む「僕」を想像して聴いています。
 たとえば、この曲なんて特に。

 ううむ、他にも「僕」を少年と設定して大人との対立構造を浮き上がらせる曲も多そうですよね。
 それに対して、「私」曲も名曲が多いですよね。
 たとえば、これとか。

 これとかね。


 46だとまた欅坂になって恐縮ですが、これとか。

 これとか。




 ここから「僕たち」とかに発生していくこともあるんですが、別の一人称はないかな、と思ったら珍しいですが、「俺」がありますね。これとか。


 そして、珍しいタイプですが、「あたし」ですね。


 皆さんが心惹かれるのは「僕」曲でしょうか?
 「私」曲でしょうか?
 僕は「僕」曲派でしてね。
 僕のおすすめ「僕」曲を挙げていきたいと思います。
① SKE48「手紙のこと」

 「恋を語る詩人になれなくて」公演の一番最後に位置する曲です。
 公演の最初に詩人のように「君」を語る美しい言葉を持てなかった「僕」が、この曲では「手紙」の言葉を手に入れて「君」のことを語ります。
 一番楽しい時は、「君」のことを考えている時が楽しい。
 これは、推しがいる人なら、凄くわかる感覚ではないでしょうか?

② AKB48「10クローネとパン」

 少年の「僕」と大人の「僕」、そして、大サビ前の精神世界の「僕」。
 秋元康の作詞の中でも文学性の高い作品の一つです。
 心理学者のユングが晩年に書いた「世界は残酷で無慈悲であると共に静謐な美しさに観ている」という言葉を連想させる一曲です。
 ちなみに、古畑奈和さんが歌うこの曲が本当に素晴らしい。
 これからは、誰がSKE48で歌うのか楽しみです。
 
③ 日向坂46「僕なんか」

 「THE FIRST TAKE」で印象ががらっと変わった1曲です。
 週末更新の記事で「THE FIRST TAKE」については書きますが、曲の新しい一面を教えてくれる素晴らしい企画だと思います。
 斎藤京子の声とちょっと諦めが見え始めた「僕」の心情が合ってて毎晩聴いております。

④ 櫻坂46「五月雨よ」

 この曲の良さは、言葉のイメージをがらっと変えたところにあるのではないかと思っています。
 「はっきりしない」、「雨」、これまでだとマイナスのイメージで語られていたものが、この曲の中ではとても心地よいものに思える。「僕」が勇気を出す瞬間がもうすぐ来るのではないか、という好きだという前のあのふわふわした気持ちが伝わってきます。欅坂46から続いた表題曲の流れに新しいイメージを与えたという意味でもエポックメイキングになりそうな1曲です。

⑤ STU48「暗闇」

 STU48の曲に出てくる「僕」は、ルーツが地方都市や田舎にあったり、まさに現在、地方都市や田舎に住んでいることが多いのでは、と僕は思っています。
 そして、STU48の曲を書く時の秋元康は、その設定というか「しばり」を入れることで生き生きしているのでは、と思うことがあります。
 この「暗闇」の主人公の「僕」は、海が近くにある町で自分の葛藤の答えを探そうとします。それは「夜よ 僕を詩人にするな」とロマンチックな言葉ではなく現実的な言葉を見つけようとします。その答えを予感させて曲は終わりますが、この田舎に残った「僕」の描き方が本当に素晴らしくて、是非「風を待つ」と合わせて聴いていただくとより浮かび上がると思います。

 みなさんは、秋元康の曲で一人称が何の曲が好きでしょうか?
 いつか「私」曲のおすすめもニーズがあれば書いてみようと思います。

こんな大変なご時世なので、無理をなさらずに、何か発見や心を動かしたものがあった時、良ければサポートをお願いします。励みになります。