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最悪なブラック企業

イギリスのレストランで10年働いてきたがその中には

とんでもない会社も多々あった。

ここでは特別に酷かったレストランについて書こうと思う。

まずそのレストランのオーナーは親が大きなホテルを経営していて

その親の出す資金で新しくレストランをオープンさせようとしていた。

私はそのオープニングメンバーとして採用された。

そのオーナーはレストラン経営のノウハウが全然ないことで

ヘッドシェフの人選を失敗した。

彼がヘッドシェフとして選んだのは口のうまい

全く料理の知識のない人物だった。

彼は料理の知識がないばかりか野菜を全く食べることが出来ないと言う

極度の偏食者だった。だが口先だけでヘッドシェフの仕事を取ってしまう。

この時の彼の年俸は50000ポンド。破格である。

まだオープンしてないレストランだったのでキッチン設備もないことから

騙しやすかったのかもしれないがあまりにも酷いミスである。詐欺である。

どの程度料理の知識がないかと言うと彼が出来る料理は

肉や魚をフライパンで焼き、市販のソースをかけるという

料理法しか知らないくらいである。

彼はオープンまでの6ヶ月間騙し通して給料を受け取っていた。

彼の中の計画で自分の下に料理の知識のある副料理長を置いて

うまく立ち回ろうという姑息な考え方だった。

オープンの3ヶ月前には20人くらいのスタッフを採用して

オープン準備に当たっていたが料理長とオーナーが

素人だということで混乱のままオープンの日を迎えることになる。

オーナー自体も料理長によって被害を受けたが私たち従業員も

オーナーから騙されていた。

入社時に提示された年俸と契約書の金額をわざと変えていたのだ。

間違ってサインすればとんでもないことだが幸いにもすぐに

気付くことが出来た。

その後、契約書の修正を何度も要求したがのらりくらりとかわされた。

私に至っては郵便で修正した契約書を送ったからしばらく待てと言われ

一週間待ってから来ないことを確認するともう一度送ったから

待てと言われること合計3度。

このやり取りだけで2ヶ月も費やし最後に嘘だったことが分かり

私は辞めていった。

同じような理由でオープン前に合計5人が怒って辞めていった。

賃金を払おうとしなかった経営者に対して私がしたことは

オープン当日までに正当な賃金を口座に振り込んだことが確認できなければ

出勤しないと言ったことだ。

それで何とか働いた分の賃金を回収することが出来た。

その他にも食材の費用を従業員に立て替えさせて払わなかったり、

給料管理の経理担当者と従業員とを会わせないようにしたり、

責任者を曖昧にさせることで不正を隠し続けたりと

数々の詐欺行為を繰り返していた。

こんな酷い会社であるが50%のレストランが3年以内に

潰れるというこの業界に10年たった今も続いている。

そこはもちろん親の経営しているホテルのバックアップがあるからだろうし

彼らの一家はイスラム系のお金持ちでその関係の

コネクションなどもあるのかもしれない。

ついでに言うと中華街のレストランにもそのような横の繋がりが多く

ブラック企業だが潰れにくいシステムが出来上がっている。

このような怖い話を聞いてしまうとこれからレストランで

働きたいという若者には酷かもしれないがそういうことが

良くある業界だということを知った上で我慢できるところは我慢し、

料理の技術を磨くことが出来れば

いつか自分に合ったレストランに出会うことが出来るだろう。

私の経験から言って全く技術のない料理未経験の時にブラック企業ではない

きちんとした経営のレストランに出会える確率は限りなく低いと思う。

騙されて辛酸をなめ、賢くなっていくこともレストランで

働くために必要な経験になる。

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