はじめ次郎

趣味は料理と読書、物を書く事です。

はじめ次郎

趣味は料理と読書、物を書く事です。

最近の記事

⑨クリスマスのキッチンでは

 イギリスのレストランの一年で一番華やかで力を入れているイベントがクリスマスです。クリスマスの2か月前からどこのレストランでもクリスマス準備に取り掛かります。  クリスマス当日のディナーの予約受付が開始され、クリスマスの飾りつけ、メニューの試作、スタッフのシフトの調整と大量のお酒と食材の発注確認にホテルのスタッフはみんな、ピリピリしています。    一番苦労するのはクリスマス当日のスタッフ確保です。クリスマスは国民の休日なので誰もが長期休暇を狙っています。しかし大体は家族がい

    • ⑧転職と昇給のタイミング

       イギリスでもしあなたが料理人として成功したいと考えているのなら転職と昇給のタイミングをきちんと計画して望まなければレストラン側にいいように利用されて終わってしまいます。  レストラン経営者はできるだけ自分に都合がいい人材を安く働かせたいと思っているので欲のない従業員にはできるだけ昇進と昇給のチャンスを与えません。    どこのレストランも人の入れ替わりが激しく従業員が長く居着かないのが普通です。そのレストランに嫌気がさして逃げ出すという人ももちろん多くいますがそれ以外にもい

      • ⑦賄い飯

         前回賄い飯のことについて少し書いたのでここで詳しく書きたいと思います。  レストランで働く人たちの生活は厳しいですがそれを助けるものが賄い飯です。無料でプロのシェフの作ったおいしいご飯が食べ放題なのです。  接客スタッフや洗い場担当スタッフはスタッフルームで雑談やまたはスマホをいじりながら 椅子に座ってゆっくりと時間をかけて味わうことができる至福の時間です。  しかしこの場にキッチンスタッフは存在しません。この賄い飯はキッチンスタッフにとって大きな問題の一つなのです

        • ⑥良いレストランと悪いレストランの見極め方

           前にもいいましたがレストランの経営はどこも大変です。そして残念なことにブラック企業もかなり存在します。そこがどんな経営者でスタッフが喜んで働けている場所かどうかは面接時にはわかりません。入ってからわかることがほとんどです。しかし私が一つだけ確信をもって判断できる基準があります。  それはそのレストランにスタッフの賄い飯があるかどうかです。  これは賛否両論あるかもしれませんが今まで働いてきた経験で賄い飯がある会社はすべていい企業でした。これは従業員に対して愛があるかどう

        ⑨クリスマスのキッチンでは

          ⑤厳しいレストラン事情

           華やかに映るレストラン業界ですが多くのレストランの経営はあまりゆとりがあるものではありません。なのでレストラン経営者側も従業員一人一人の生活を保障することは難しくなります。なかにはかなりきわどい経営と雇用形態をとっているレストランもいくつかありました。  そのためにレストランで働いているスタッフのほとんどは厳しい生活をしいられます。    接客スタッフはキッチンスタッフに比べてさらに条件が厳しくなります。接客経験が長くても正社員なることは難しく、シフトを安定して入れてもらう

          ⑤厳しいレストラン事情

          ④シェフの苦悩

           レストランのキッチンは大体どこも週45時間勤務ですが場所によっては週50時間や55時間、一日11時間以上働くところもあります。日本もよく働く国民性でいろいろな健康問題を抱えていますがイギリスのキッチンもそれに似た問題を抱えています。    一日中立ちっぱなしで仕事に追われ、食事も仕事をしながら立ったまま掻き込みます。水を飲むことさえできない忙しい時は、ガスコンロの暑さと水分不足で脱水症状を起こしそうになったこともあります。    またストレスや疲労がたまると仕事が円滑に進ま

          ④シェフの苦悩

          ③ホテルのキッチンでの仕事と役割

           イギリスのレストランは大体が前菜、メインディッシュ、そしてデザートの3コースで提供されます。    前菜は注文が入ってから大体10分以内で調理可能なものが選ばれますが、大体どこのレストランでも若年のシェフが担当します。    そして次にメインディッシュですがこの調理にかけられる時間は20分から30分位です。  このメインディッシュは3人がチームを組んで作り上げます。    1人目は肉や魚を調理するシェフでミートシェフと呼ばれます。グリルやフライパン、オーブンを使って調理し、

          ③ホテルのキッチンでの仕事と役割

          ②ホテルのキッチンスタッフの階級

           大体どこのレストランでも上司の言うことが絶対という縦社会ではありますがそれはイギリスでも同じです。    まずキッチンで一番偉いとされているのがヘッドシェフですがホテルの場合、この地位はジェネラル・マネージャーと同等と考えられています。また規模の大きなホテルではエグゼクティブシェフなどと呼ばれ、普通のレストランのヘッドシェフとの違いを表した言い方がなされます。    ヘッドシェフの仕事はメニューを考案し、スタッフの採用とシフト決め、キッチン設備や調理器具の管理や購入、衛生管

          ②ホテルのキッチンスタッフの階級

          ①イギリスで最初の仕事

           イギリスに住み始めて最初の半年は仕事探しに苦労しました。知り合いのつてでパートタイムの仕事は時々入ったものの暮らしを安定させるために腰を据えて働ける場所を探し続けました。  そこで見つけた最初のフルタイムの仕事が中華系レストランのキッチンの仕事でした。  当時は簡単な意思疎通も困るほどの英語力でしたが日本人だということに興味を持ってもらえて面接もそこそこにすんなりと入ることができました。  そのレストランはかなり大きなキッチンで厨房スタッフだけでも15人もいましたし、その

          ①イギリスで最初の仕事

          はじめに

           私は長年、イギリスと日本のレストランでシェフとして働きました。そして10店舗以上のレストランのキッチンを経験しました。この数が多いのかどうかはわかりませんが貴重な経験が多く、良い所も悪いと思うところもありましたが、この経験を文章と写真で誰かに伝えたいと思いました。    料理の世界はまだまだ封建的でこれから料理の世界に飛び込もうとする若者には厳しい世界です。パワハラが当たり前に存在し、いじめに苦しむ新米シェフも多くいます。賃金も底辺からのスタートで努力と根性で少しずつ向上し