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不思議なお菓子:カヌレin bordeatx

なぜかわたしの郷愁をそそるお菓子、それが、カヌレ。

カヌレは、今では日本の洋菓子店でいろいろな種類を見かけるようになったが、ほんの数年前までは、それほどメジャーなお菓子ではなかったように思う。

わたしがカヌレを初めて食べたのは今から20年前、仕事で訪れたイギリスのバースだ。
カヌレとの出会いが、日本やフランスでなく、なぜイギリス。しかもバースなのかは不思議なことに、わからない。 

ただの偶然、ときどき遭遇する人生の不思議の一つとしか言いいようがない。

バースはロンドンから西へ約185kmくらいのとこにあり、イギリスで唯一の温泉地だ。紀元前9世紀に源泉が発見され、ローマンバス(ローマ式大浴場)が街の中心にあり、いまでも温泉が湧いている美しい世界遺産の街だ。

そのローマンバスの近くに小さな市場があり、何気なく入ってキョロキョロしていたら、パンを売るケースの上に小さな可愛らしい蜂蜜色のお菓子を見つけた。これがカヌレだった。
その時は、このお菓子がカヌレと言うことさえ知らなかった。

見たことがない形と色に、わたしの好奇心が触発され、一つだけ買ってその場で食べた。
外はキャラメリゼしてカリカリ、中はもっちり、それほど甘くもなく、ラム酒とバニラがしっかり口の中に残る充実感のあるお菓子だった。

そして、忘れていた遠い記憶の蓋をコトリと開いたような不思議なお菓子だった。

カヌレの歴史は16世紀にボルドーでワインの澱を取り除くコラージュ(清澄工程)で鶏卵の卵白を使用し、大量の余った卵黄の利用法として修道院の尼僧姉妹が考え出されたものといわれている。

そのボルドーの伝統のお菓子がなぜイギリスのバースにあったのか?

それは、ボルドーの歴史から紐解くと中世ボルドーがイギリス領だった頃、ボルドーワインは大量にイギリスに輸出されていた。それでワインと一緒にカヌレもイギリスまでついていったのかもしれないと自分勝手に繋いでしまった。


さて、さて、ボルドー街中には有名なカヌレ屋さんが2軒ある。 

「CANELÉ BAILLARDRAN」


その一つが「CANELÉBAILLARDRAN」

ボルドー駅中にも店があり、人目を引く鮮やかな赤がトレードカラーで店のインテリアも赤でレイアウトされて、さらに店員さんも赤いコスチュームだ。なので、かなり目立つ。

カヌレは2種類

ベーシックなカヌレ(2.5ユーロ)

マダガスカル産のバニラを使った特別バージョンカヌレ(3.5ユーロ)

もう一つが「La Toque Cuivrée」
こちらは、さりげなく街角にありカヌレの味は1種類、サイズは3種類。

お値段は
一番大きいサイズ(canelé gros)が1個0.7ユーロ
真ん中のサイズ(canelé lunch)が0.5ユーロ
一番小さいサイズ(canelé bouchée)は 0.4ユーロ

「La Toque Cuivrée」
二つのカヌレ

二つのカヌレを食べ比べてみた。

「CANELÉ BAILLARDRAN」のカヌレがわたしの嗜好にあうかな。
カヌレの生地が細やかで、バニラとラム酒の風味が印象的だと思う。

カヌレの発生の地、ボルドーで
カヌレを齧りながら、
その歴史を紐解きながら、
忘れていた遥か遠くの記憶、
たぶん数回前の前世の記憶を思い起こすような時間を過ごした、わたしでした。

あなたも、遠い昔に忘れていた懐かしい記憶を揺りおこすスイーツがありますか?

#この町が好き #わたしの旅行記#オバサト63#カヌレ#ボルドー#スイーツ

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