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映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』監督記:31 請戸の惨劇

2021/7/30 快晴。明け方から常磐道を福島へと走る。『日本と原発 4年後』の撮影以来、7年ぶりに双葉郡浪江町を撮りに行く。気分は明るくなってゆく空とは真逆だ。積極的に行きたい場所ではないが、原発事故10年目を描く本作には欠かせない。
 
2011年3月11日、福島第一原発の北7kmに位置する浪江町の請戸海岸では、津波に流された人たちの捜索が消防団によって行われていた。夜になると流された車から助けを求めるクラクションが鳴り響き、物を叩く音やうめき声まで聞こえたという。しかし、12日5時44分、放射線量が上昇したことで政府から原発の半径10km圏内の住民に避難指示が出されたために消防団は捜索を中断して避難誘導に転じなければならなくなった。

福島県警によって捜索が再開されたのは1ヶ月後。そして9月までの間に浪江町の沿岸では、子どもや高齢者を含む180名以上のご遺体が発見された。
地震と津波の被害だけなら救えた命はいくつもあったはずだと消防団員の方々は回想している。

請戸地区から福島第一原発を望遠。2014年7月撮影

見ることが出来ない、匂いもない放射性物質拡散による大惨事が起きた場所。カメラを向ける前に手を合わせた。
(この出来事はYouTubeで公開中の『日本と原発 4年後』2:59からのシーンで詳しく見られます)

映画公式サイト
https://saibancho-movie.com

宣伝費を募るクラウドファンディング
https://motion-gallery.net/projects/saibancho-movie


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