「家族狂」中村うさぎ
「ゴクドーくん漫遊記」というライトノベルシリーズがあった。
中学生の時に大人気だったらしく、オタク気質なクラスメートが読んでおり、面白さを熱弁していた。
オタクな彼は奥山くん。
俺は小学2年生の時に、今の実家がある町に引っ越してきた。
その時に最初に話しかけてくれたのが奥山君だった。
そこから仲良くなったのだが、彼は早生まれで体の小さかった俺を子分のように扱うことがあった。
特に気にしてはいなかったのだが、だんだんとプライドが芽生えてきた高学年のころには、彼にイラつきはじめていた。
6年生のある日、ついにイライラが爆発して、人生初めての殴り合いの喧嘩をした。
といってもギャグマンガのような、手を上下に動かしてポカポカといったレベルだが、彼を泣かせて勝利したのだった。
そんな彼が読んでいたシリーズだったので、毛嫌いして読んではいない。
ちなみに高校進学時、自分は〇〇高校で彼は〇〇西高校だった。
界隈では大体、西だの東だの方角が名称につく高校は、ノーマークの高校よりも偏差値が劣るのだ。
喧嘩と学力で通算2勝した気持ちだった。
だが、高校2年生の時、彼女らしき女の子を自転車の後ろに乗せた奥山くんを目撃した。
女子と上手に話すこともできなかった自分としては、すさまじい敗北感。
この負けは先の2勝をあっけなく覆すものだった。
一体なんの勝負をしてたんだか。。
話を戻そう。
この「家族狂」はそんな(どんな?)ライトノベル作家、中村うさぎが書いたサイコスリラー小説だ。
ある作家のもとに4人の幽霊があらわれる。
父・母・姉・弟の構成。
さらに新しい担当編集者の女性は自分になにやら気のあるそぶり。
「あなたの小説は私に向けて書いているのでしょ?」とサイコな手紙を送り続けるファン。
そんな状況の中、少しずつ物語は不穏な方向へと進んでいく。
幽霊とサイコは両立しないものだと思う。
超常的な存在がいる世界ではサイコな人間は不要だ。
化け物をだせばいい。
サイコな世界では幽霊は存在しない。
大体がサイコな人間の妄想だからだ。
いったいどちらに傾くのか予想がつかないまま、きな臭い状況がじわじわ進んでいく。
そして。。。
スリラーは複雑じゃなくていい。
読者に考えさせる余裕を与えない展開が良いのだ。
これ読んでた時、建て替えたばっかだからか家鳴りがしたんだよ、大きな音でビキッ!!って。
怖くなってお父さん呼んだ。
可愛いなこのころの俺。
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