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Blenderで指輪 橋本コレクションに挑む

おばちゃんが欲しい指輪は、銀座の高級ジュエリー店のいわゆる婚約指輪みたいなやつじゃない。なぜか昔からそういう物にまったく興味がなかった。そんな、おばちゃんが初めて「欲しい」と思った指輪(たち)がある。

国立西洋美術館所蔵「橋本コレクション」──

実業家の橋本貫志氏(1924-2018)が蒐集した指輪を主とした約870点におよぶコレクション。古代から中世〜現代まで、歴史を網羅する美しいジュエリーの数々。

そして今回、Blenderの練習としておばちゃん垂涎の品、15〜16世紀のピラミッド型のアンカットダイヤモンドのゴールドリングに挑むことにした。

造形のプロ(おじちゃん)からのアドバイス?

だが、最初から上手くいくわけがない。

お茶の時間におばちゃんが愚痴ると、おじちゃん(造形のプロあるいは旦那)がこう言った。

「面には気持ちの”良い面”と”悪い面”がある。」

そして、コーヒー用保温ポットの蓋をなでながら、

「この面は実際は平らなのに凹んで見える。こういうのを”気持ちの悪い面”という。モデリングがあまり上手ではない。」

・・・このポットの形が好きで買ったんだけど。

「デザインのどこを大切にするか、犠牲にするか、取捨選択するのもデザインセンス。作りたい指輪のカタチは、どんな面を作れば実現できるか考え、”気持ちの良い面”を作りなさい。」

(ハァァぁぁぁぁ?)

そして特訓が始まった

おじちゃんはBlenderを使えない。だから、Blenderの操作方法については全く頼りにならない。だが、造形はクレイから始めて、Rhino歴20年超のベテランだ。

使えるものは何でも使え。モデリングでどうにもならないところは、おじちゃんからヒントを得ることにする。

13日×5時間/日=65時間

作り直し10回、途中からの修正ファイル合わせて、最終データまで合計38ファイル。

この間(かん)、おじちゃんに見てもらってはダメ出しを喰らい、右肩はバリバリにこり、サロンパスを買いに薬局へ走り、ドライアイの目は涙で潤い、終いには脳内から何かわからん快楽物質が出たのか楽しくなってきて、寝ても覚めてもモデリングの事ばかり考えていた。

ようやくカタチになる

本当はもっと細い指輪で、上側はこんなに大きくはない。それは、おじちゃんに最初から指摘されていた。だが、写真しか資料がない中で、おばちゃんには「こう」見えていた。

(オリジナルの指輪の写真を載せようとしましたが、著作権うんぬんが面倒くさそうでやめました)

本物は時代の中で付いた傷、擦れによって得たエイジングで、美しさに深みが増している。

一方、CGの方はピカピカの金で幅も太くてゴツい印象。もっと本物に近づきたかった。

ただ、まあ、今の自分が出せるだけの力で何とかやり遂げたことには満足している。


WEBデザイナー(自営業)のおばちゃんです。最近はBlenderネタ多めです。