ゆとり世代が太極拳に挑戦してみた

太極拳を初体験してきた。
友だちで太極拳の先生をしている人がいて、私の近所でクラスを開くということで参加してきたのだった。

いきなり動いたりするのかと思っていたが、まずは太極拳の「太極(正反対のもの)」について丁寧な座学があった。
中でも「陰陽とは太陽と月のように対等なものを本来示すが、人は陽のものばかりに注目が行きがち」という話が心に残った。

言葉の順番を見ても、陽のものが先に来ることが多い。
下の写真のように男女・上下・天地・朝夜・外内といった陰陽の言葉を並べるとわかりやすいかもしれない。

先生の座学板書を復元したもの

写真の上にある「男・上・天」といった字は陽グループ、下の「女・下・地」は陰グループに属する。日本語では正反対のものを示すとき陽のものが上に来るのが多く、陰が先に来る日本語は「陰陽」のみらしい。

女性が子どもを産むように、陰の部分があって初めて陽は輝く性質を持つ。見えないだけで昼間も月は輝いている。
しかし日本の現代社会は「女性・下のもの・見えない内なる想い」といった陰のものよりも「男性・上のもの・外に見える成果」など、陽の部分だけに注目することが多い。
「花のない根はあるけど、根のない花はない。それなのにみんな花だけを見ている」という太極拳の先生の言葉がなんだか胸に染みた。陰があるから陽は光かがやく。

その一方で、平成元年生まれ・ゆとり世代ど真ん中の筆者からすると、この陰陽の考え方にむず痒いものを感じる。

私の世代から日本の教育では宿題の量が減ったり土曜日登校がなくなったりした。私が物心ついた時には親や先生から「あなたたちはゆとり世代だから」とよく言われたものだ。彼らにそんなつもりはなかったと思うが「あなたたちは楽でいいよね、甘やかされてるよね」と言われてるような気がした。

やがて大人になって就職した会社で「数字取れないと意味ねーんだよ」「お前の代わりなんていくらでもいる」と言われながらガムシャラに頑張れたのは、ゆとり世代と言われたくないという悔しさと、身を粉にして働くことへの憧れがあったからな気がする。結局身体を壊してしまい、私は社会のネジにはなれなかったけど。


座学を終え、太極拳のクラスでは陰の性質を生かした姿勢や歩き方を実際にしてみるということをした。
まずは陽の姿勢。下半身の膝はピンとまっすぐ、上半身は胸を張り、目線は1点を見つめるもの。
これだと前一直線にずんずん進んでいく分には速く行けるが、横からちょっと突いただけでよろけてしまう。陽は前の方向のみ強いことがわかる。

一方、陰の性質を生かした姿勢はなるべく足裏を感じて、膝や腰にゆとりを持たせ、胸は張るというより下げるように、目線はぼんやりと全体を見る。
この陰の姿勢だと何が起きても無理なく全方位に対応できる。比べると陽の姿勢はつっぱってる感じが多くて、身体にかかる負担が大きい。先生に「ひとみさん反り腰ね~この姿勢だと腰痛になるよ」と言われた。

根っこがないと花は咲かないという考え方も、花が咲かないと意味がないという考え方も、どちらもわかる気がする。
女性性を大切にする生き方も、男性性の中で戦って勝利を収める生き方にも惹かれる。

太極拳のみんみん先生はクラスの中で「揺れていいからね~真っ直ぐすぎると折れちゃうから」といっていた。それは身体のことなのか、心か、はたまた生き方のことなのか。

太極について座学をする、みんみん先生


答えはまだ見つからないままだけど、とりあえず腰痛にはなりたくないので、みんみん先生に習った陰の姿勢を気づいた時するようにしている。






みんみん先生の太極拳についてのブログはこちら
http://blog.minminkung-fu.com

女性の生き方を応援する魅力的なクラスを葉山で提供している
Rosa Mare(ローズマーレ)主宰の吉川さんのnoteはこちら
https://note.com/libera_seeds