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潜在意識は自分を目的地へ連れていってくれる

20代のころは激務で、生きるために働くというより働くために生きているような状態だった。大人になって生きるとはそういうことだとカフェインやアルコールの力を使って乗り切っていた。

あるとき遅番から帰宅し、何とか食事をしてお風呂に入って明日の早番に備えようとベッドに入ったが眠れない。そんなときたまたまテレビを付けたらドキュメント72時間という番組をやっていた。

72時間同じ場所にいて、そこにいる人にインタビューするという番組で、そのときはホテルオークラの特集をしていた。
本館の建て替えに伴い、オークラに思い入れのあるお客さんが多く出入りしていた。

毎週オークラでディナーする、働きすぎて身体を壊した社長さんとその奥さん。
「ロビーのソファは上から見た時に、梅の花が咲いたように置いてるんですよ」とソファの位置を微調整し続けるホテルマンさん。
旦那さんの介護の傍ら、ホテルの自習室で看護の勉強をするご婦人。
 
ある建築士さんは「仕事で落ち込んだ時、オークラのロビーに来ると頑張ろうと思えるんですよ」とおっしゃっていた。
 
ぼんやりとオークラをテレビ画面越しに見ながら「こんなステキ空間があるのか」という感嘆と「まあ私の一生には無縁の場所だな」という絶望にまみれながらテレビを見ていた。
 
そこから数年経って、虎ノ門にある職場に異動。
自分などが入れる場所ではないと思っていたが、同僚の何気ない一言でオークラに入れた経験から、お花の手配などでオークラによく出入りするように。

 
それでも憧れのロビーは私にとってずっと聖域そのものだった。
しかし退職を前にしたこともあり、思い切ってロビーに行って、上から見ると梅の花に見えるというソファに座ってみた。

ゆったりしたソファに腰かけて、高い天井を見上げていたら胸がいっぱいに。

 行ってみたいところが出来たとき、ただ「いつか自分はそこに行ける」と思うと、潜在意識が働いて行けると聞いたことがある。 

タクシーに乗って「東京ディズニーランドまでお願いします」というとそこまで連れていってくれるように、ただそこに行くと決める。

 「時間をどうねん出するか」とか「費用がないのにどうやって」とか考えてしまいそうなところだが、あれこれ考えてしまうのは、ベテラン運転手さんに向かって「こっちの方が近道ですよ」とか「この道は間違ってるんじゃないですか」と何も知らない乗客があれこれ指図するのに近しいらしい。
ただ、そこに行くと決める。そうすると時間が掛かってもいつかそこに行くことが出来る。

きれいな花嫁さんが記念写真を撮っていました。わたしもいつかそんな未来に行けるかな。

 いつかオークラ名物のフレンチトーストを食べに行けるように精進します!






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