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精神論で文章は上達しない

学校でも会社でも、午後眠くなってしまうのが長年の悩みだった。

「午後はみんな眠いものだよ」と言ってくれる優しい人もいるが、私の場合はとにかくボー-ーっとしてしまって、人の話が入ってこない。
以前、会社一のイケメンと言われる職員さんの前で食後ボーっとしてしまい、あげく自分のおならの音で目が覚めた時は、すさまじい自己嫌悪の念に襲われた。

みんな普通に出来ることが出来ない。なんて私はダメな人間なんだろう。

そう思っていた時期が長かったが、あるとき宇宙開発で有名なNASAが「人の能力は血糖値で決まる」という発表をした。

メンタル・決断力・コミュニケーション力など様々な力は、血糖値に大きく左右される。仕事の間の昼食は、サッと済ませられるおむすびや麺類といった炭水化物を食べることが多いが、そうすると急激に血糖値が上がってボーっとしてしまうので、血糖値対策をNASAの職員は取っているということだった。

さっそく私はNASAの血糖値対策を真似してみた。昼食前にナッツを一つよく噛んで食べる、野菜→たんぱく質→炭水化物の順で食べる、炭水化物は少な目にしてその分キャベツやもやしを食べる、などなど。

こうしたことを続けていくうちに、以前と比べるとだいぶ頭が冴えた状態で午後過ごせるようになった。
そして科学が私のくだらない精神論を打ち破ってくれたようで、なんだか嬉しかった。

ちなみに文章の世界では「とにかく感情を込めて書きましょう」という精神論を言っている人が多い。

小学校の作文では「とっても楽しかったです」「とってもつらかったです」と自分の感情を書いた方が先生に評価されるが、実は書き手の感情は抜いて書いた方が読み手に伝わるものが大きくなる。
「とっても寒かった」と書くより「温度計は1度を示し、吐く息が白い」と書いた方が、書き手が体験した寒さがより読み手に伝わるのだ。

こう書いていくと精神論というのはあまりにも単純なことに気づく。
午後眠くなってパフォーマンスが落ちる人間はダメなやつ、と切り捨ててしまうのはとても楽なことだ。でもうまくいかない理由をあらゆる方面から明らかにして対策を考える方が、よっぽどその組織の力を底上げする。

「感情を込めて書けば感動的な文章になる!だからあなたも感情的な文章を書きましょう!」と口で言うのも簡単だ。
でもどうしたらもっと読み手に伝わるように書けるのか、一緒になって悩んでくれる先生こそが、その人の文章力を伸ばす先生のように思う。

どうしてもうまくいかない。そんなときは自分を責める前に、客観的に方法を調べてみると、意外な道が拓けることがある。
精神論で片づけるのでなく、うまくいかないという人と一緒に原因を探す人でありたい。

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