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インタビュー記事を書くライターの苦悩

知人から「仁美さんはいいなあ、チョチョイと文章が書けて」と言われたことがある。残念ながら今の今まで、チョチョイと書けたことはない。

noteは常にネタ切れと戦っているし、ライターとして頂く仕事の原稿は毎回至って必死の形相です。

他人が想像するライター像
実際のライター像

特にインタビュー記事作成のお仕事は、むずかしい。

この仕事はzoomでインタビューゲストの方のお話を伺うところから始まる。お話が終わり、笑顔で退出ボタンを押した後、たいてい私は「これをどうやってまとめたらいいんだ・・」と頭をかきむしる。

60分のインタビューで得られる情報は膨大だ。
まるで台風が去った後のように広がる言葉たちを丁寧に拾い集め、一つの記事に仕立てていく。

ライターの役割とは、読み手とインタビューゲストをつなぐことである。

たいてい、読者は赤の他人の話に興味はない。人は他人の自分語りにそこまで付き合えないのだ。だから、ゲストの話を読者が興味深く読めるように変換していくのがライターの仕事だと思っている。

この塩梅がなかなか難しい。

読者に興味を持って読んでもらえるようにしすぎると、ゲストから「私ここまでは言ってないんですけど・・」と修正指示になってしまうし、だからと言ってただゲストの話を文字起こしにしただけでは、読者は読んでくれない。

精魂込めて書いた記事を「全て書き直しでお願いします」と言われ書き直し、さらに「すみません、原稿全体のエネルギーを上げる感じでお願いします、もう一度全て書き直しで」とよくわからん指示が来た時は、宇宙にただ一人放り投げ出されたような気持ちになった。

それでも「あの記事よかったよ」と言われると一気に報われる気持ちになるし
「仁美さん、次回はこの仕事をお願いします」と言われた時は、天から蜘蛛の糸が降ってきたような気持ちになる。

その細いチャンスの糸はきっと二度と来ないので、必死に掴む。それは幸せとかやりがいというより、命をめいっぱい使っている感じだ。

転職サイトのCMでは「好きを仕事に!」「仕事でハッピーに!」と謳われているけど、私はあまり仕事でハッピーを感じたことがない。それならパンケーキを食べる方がよっぽど簡単にハッピーになれる。基本的に私が仕事で感じるのはhappyというよりjoyfullの感情だ。

セラピスト時代はお客さんに詫び菓子を持って謝りに行ったり、14日連勤をこなしたり、幸せを感じるというより働き方に疑問を感じることの方が多かった。

それでも車椅子に乗っていたお客さんが頑張って歩いて来店されているのを見た瞬間や、ずっと不妊治療されていたお客さんが妊娠した時などはそれまでの苦しみが吹っ飛ぶような想いがあった。

これからもきっと働き方に正解を出すことはできない。自分で正解にしていくしかない。

夢のような場所まではまだ飛べないけど、羽ばたいてる間は消えないと信じて。




アトリエカンテレという声の学校で学ぶ、声楽家の方にインタビューをしました。
声を出すとき緊張してしまう、もっと自分らしい声になりたいという方は
ぜひご覧ください。


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