オババ

ボードゲームデザイナー『obaba』の創作活動を断片的にまとめていこうと、覚え書きとし…

オババ

ボードゲームデザイナー『obaba』の創作活動を断片的にまとめていこうと、覚え書きとして残そうと。 そんなイメージで初めてみました。 当面は1人用デッキ型カードゲーム『Troppoトロッポ~異世界の冒険と3つの扉』のアイデアノート的に、小説だったり設定だったりを載せていきます。

最近の記事

『Troppoトロッポ~異世界の冒険と3つの扉』

ー序ー 山道は、夕方からの煙るような雨で視界も足元も悪い。 イングランドとの戦争は百余年も続いた。 ブリテンの兵士たちは引き上げていったが、代わりにあちこちで内戦が起こり小さな村々では略奪が横行していた。多くの人たちは城壁の内側に避難し、その外では次々と集落が消えていった。 戦争やペストで疲弊した国力の回復を計る王朝によって、教会もまた時代の潮流に飲み込まれていた。教区内も汚職や政略にまみれ、神父たちの興味は人々より自らの財に向いていた。私は大学で神学と医学を修めたのだが

    • 『Troppo』久しぶりの投稿

      鋭意制作中の新作1人用デッキ型カードゲーム『Troppo(トロッポ)』の、テストプレイ用マニュアルが出来ました。ルールの説明以外に、世界観に沿った漫画や文章も掲載される予定です。 今回はその中の、主人公(それは貴方です!)がこの世界の“異様”に気付いた時の一節を載せさせて頂きます。

      • Intro

        『Troppo(トロッポ)』とは 『Troppo』とは、フランス語で3を表す「trois」と扉を表す「porte」を掛け合わせた造語です。 あなたは3つの場所を、扉を開けるように行き来して行くことになります。 しかし、そこにあなたの自由な意思は介在しません。いつでもそれは夏の日の夕立のように、不意に訪れる“めまい”のように、突然に訪れあなたを違うシーンに誘うでしょう。 そんな不自由な世界であってもあなたは歩みを続け、目指す目的を果たさなくてはならないのです。 温かい故郷に

        • ー異世界図鑑ー

          ここでは、見たことのない生物や植物、生活用具などが見られる。それらをここに記録しておくことにする。 ・ハングリーラビット 体長2ピエ(約32センチ)。大型の肉食性ウサギ。ネズミなどを捕食しているところを度々見かけた。数頭~十数頭の群れで狩りもしており、牛の子供も仕留めていた、また、このウサギ自体も捕食対象になっていて、より大きな生物が追いかけている姿も良く見る。警戒すると普段しわくしゃの耳をうちわの様に広げる。 ・ヨツメアゲハ 翼長9プース(約25センチ)。大型のアゲ

        『Troppoトロッポ~異世界の冒険と3つの扉』

          ーミノスの回廊ー

          廃坑を再利用した盗賊団のアジトの最奥に、その扉はあった。 薄暗い行き止まりにある扉には大きな閂がかかり、錆び付いてはいるが強固な錠前でがっちりと閉められまるで猛獣か何かを閉じ込めているようであった。 私はそこに、レッドエイプから奪った大振りの鍵を差し込んでみた。 長く放置されていたであろう其れは初めガリガリと音を立て中々入れてくれなかったが、やがて根元まで飲み込むと、遠慮がちにもゆっくりと回り出した。想像に反して「カチッ」っと小気味の良い音を立て錠前は、そのままドスンと大きな

          ーミノスの回廊ー

          この旅の手記~傍観者としてー1ー

          旅の休憩に、私は少し小高い丘の上に上がるのが常だ。 平地に、まして見通しのきかない森の中などにおれば、その一寸先が分からぬようなこの世界では、周囲が見渡せるこんな丘の上が心身ともに安らぐ。 この地に足を踏み入れてまだひと月余りだが、ここは見た目の凡庸さとは裏腹に本当に落ち着かない場所だ。もし私がこの丘を下って木々の間に分け入ってしまえば、ここから見えてる森は朝モヤのようにいつの間にか消え失せ、幾日も前に通り過ぎた筈の小川の縁に出るかもしれない。はたまた、やっとのことで乗り越え

          この旅の手記~傍観者としてー1ー