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【単巻5冊読書感想⑪】『遺伝学者、レイシストに反論する』『お伽噺殺人事件』『探偵学入門』『このビル、空きはありません!』『あれは超高率のモチャ子だよ!』

 はてさて。

 おかげさまで、この記事もなんと11を数えることに
 紹介半分に感想を書いているタイトルも50を超えたわけですが……。

 この記事シリーズ、始めたの今年の一月なんすよ……。

 そんなに読んだかな……?

 というわけで。
 今回5冊のラインナップはこちらー。

 


【1冊目】ちゃんと知りたい遺伝子のこと『遺伝学者、レイシストに反論する 差別と偏見を止めるために知っておきたい人種のこと』

※このタイトルはKindle Unlimited対象タイトルではありません

 228ページ。

 でも、かなり難解で3時間半もかかりました。

 人種的なイデオロギーは、遺伝子よりも文化や歴史が背景にある。

 結構専門的ですが、比喩などを交え、なんとか一般的にもわかりやすく解説してくれています。

 面白いなーと思ったのは以下の点。

 先祖を辿っていくと、二人、四人、八人……と増えていくけれど、その祖先に重複が出る。
 よって、いろんな人の祖先が一人に収束するポイントがある

 「遺伝的な変化が生じない短期間に、IQの上昇傾向が見られる」というフリン効果。 

 遺伝子学とか心理学とか、こういう分野は、常識と相反する結果が出る
 ここが面白いところかつ、複雑さを増して誤解を生むところですよね。

 難しいけれど、得るところが多いタイトルだと思います。




【2冊目】昭和のB級ミステリ『お伽噺殺人事件』

 『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が面白くなかったので、昭和時代の同じようなテイストなら面白いかなーと思って。
 KUで一年くらいキープしてました笑

 あっちが「昔話を舞台にしたミステリ」なら、こっちは「現代社会で昔話に似た事件が起こる」というスタイル。
 そもそも切り口が全然違う。

 内容自体は、ちょっと冒険活劇風の探偵の話があったりとか、愛人と妻の愛憎話があったりとか。
 純ミステリというより、暇つぶし用のB級ミステリって感じ。

 でもまー、今の時代、逆にこういう作品なくない?

 ということで、そこそこ面白かったです。



【3冊目】こんな探偵もアリじゃない?『探偵学入門』

※このタイトルはKindle Unlimited対象タイトルではありません

 いろんなミステリの短編が集まった一冊。

 リューイン初読みです。
 翻訳は安定の田口俊樹さん。

 イギリス系のエッジ効いてるけど、なかなか教養を問われる感じが。
 面白くないわけじゃないけど、脳みそ使うなー合わないなー……と。

ただ、連作短編集が別で出ているらしい、「のら犬ローヴァー」と「探偵家族」は面白かった
 シリーズの短編集は借りてきて読もうと思います。

 他の警部さんのシリーズも入っていて、いろんなリューインを楽しめる短編集になってます。
 作風に慣れるのに時間はかかったけど、「これがリューインかー!」と。

 リューイン入門として堪能しました。

 皆さんも、リューイン入門としてどうでしょうか?



【4冊目】恋愛なし! お仕事小説の本懐、ここにあり!『このビル、空きはありません! オフィス仲介戦線、異常あり』

 ※このタイトルはKindle Unlimited対象タイトルではありません

 タイトルとストーリーが一致してないアレ

 オフィスとなる物件を対企業に紹介する社員十数名の会社に、初の女性営業として就職した咲野。
 が、初仕事のビギナーズラック的な大企業の案件が頓挫してから空回りを繰り返すことに……。
 最終的に、特務室という何をしているのかよく分からない部署へ。

 というところから始まるお仕事小説です。

 フツーに面白い。

 ちょっとよく考えたらご都合主義な展開なんだけど、それでも違和感なく、爽快感のある読了感で読ませる。

 恋愛要素は一切ないので、そこらへんはどうしても読む人を選ぶかも。

 ただ、「お仕事小説」って言葉から連想されるような、堅苦しさはありません。
 お仕事小説を求めている方には是非オススメ一冊です。



【5冊目】モチャ子とは神、つまりは貨幣制度だ!『あれは超高率のモチャ子だよ!』

 ジャケ読みですねー。
 タイトルは読んでもわからん。特に「超高率」のあたりが。

 将来の日本を担う優秀な若者を育成する、帝釈学園。
 モチャ子。それは、学園創始者・帝釈モチャにちなんだ特殊貨幣
 最初は、学園外の貧富の差を持ち込まず、学芸の優秀者に賞与として与えられていた。しかし、やがて富んだ勝者が有利になるようルールを改変し、モチャ子が全てを支配する学園へと姿を変えた。
 執行局公安局の二つに分かれ、マネーゲームならぬモチャ子ゲームが繰り広げられるなか、独立を保ち脱モチャ子学園を目指す第三の組織・配当局
 「家から一番近いから」とモチャ子も知らずに入学したと、晃を追いかて入学したチャームポイントアホ毛のアホっ娘ユイ。嫌々ながら配当局に所属することになった晃は、やがて仲間と共にモチャ子ゲームに巻き込まれていく!!

 はい。

 Kindleの説明が二行だったので、ちゃんと真面目にあらすじを書いてみました。

 面白いのは、面白いのよ。

 でも、『千歳くんはラムネ瓶のなか』を読んだ時にも思ったけど。
 一気読みさせる勢いと、爽やかな読了感はあるんだけど、感動がないのよ。
 それ以上の感情の動きが。

 なんだろうなー。

 『BACCANO!!』のあの、全てが一つに収束してく馬鹿騒ぎを描き切る技量に舌を巻きつつ、ワクワクして。
 『ブギーポップ』のなんか深淵そうな独特の世界に、カッコいいと憧れを抱き。
 『都市シリーズ』のカップルが結ばれるたびに心の底から「よかったね! よかったね! あ〜このカップル良き!」ってなったり。

 そいうのが!
 最近のラノベには足りん!!

 え?
 大人になったんだから、ラノベに感動を求めずにもっと世界を広げなさい?

 ヤダ。
 永遠のラノベ読みでいたいのー。

 最近初読した『スレイヤーズ』シリーズはそんなことなかったので!!
 やっぱり「最近のラノベは……」ってところに落ち着くと思うだけどなぁ……。

 あと、これ2015年出版。
 わたしの「最近」は『転スラ』あたりからだから、ドンピシャ「最近」なんですよね。
 なんて言い訳もしておきます笑

 続きオチで終わっているのも、どうしてもマイナスですね。
 ともかく、担当編集さんは続けるつもりだったと思うし……。
 マネーゲームを書き切って満足した作者さんが、編集部を納得させられる続刊のプロットを提出できなかったんじゃないかな……と邪推。

 とはいえ、このタイトルの設定、ファンタジーでやった方が面白かったんじゃないかなと思います。

 例えば……。

 世界は、丸かった。
 その発見に世界は、震撼した。
 戦争で土地を荒らし、時には魔法で呪いの地を生み出してきた。そう、つまり、旧来のやり方で土地を獲得し続け、富国たりえるには終わりがある--そう突きつけられてしまった。
 パイを傷めずに、できるだけ多くのパイを得なければならない。
 休戦した各国は、協議のうえ一つの結論に達した。全権を委任した外交官たちを一つの街に集め、騙し合いという名の話し合いでパイの配分を決める、と。
 その街は、丸い世界の中心であるがゆえに、その街はただ、こう呼ばれる。
 セントラル、と。

 列強は既存の強さを持ち込みたがった。小国は勢力の一新、平等を求めた。
 パワーゲームの結果、スタート時点では一国ごとに同じだけの土地を有し、独自の貨幣制度S紙幣が導入されるに至る。
 武力と魔法は禁止され、話し合いが全てを決める。
 だが、セントラルで最終的に勝利した列強・小国のいずれでもなく、紙幣Sだった。
 Sさえあれば、すべてが手に入る。
 戦争のない世の中、万国平等を謳いセントラルが築き上げられてから、352年。
 それだけが、この街のルールだ。

 もちろん、セントラルへの入街だけでなく、退街も厳しく制限されている。
 許可証がなければ入れないし、そして、出ることもできない。
 それは、つまり。
 街から出ることも能わない孤児たちを生み出した。
 人と人が集まれば、当然の如く、交流が生まれる。両親いずれにも認知されなかった孤児たちは、より集まって「孤児院」を作り上げた。
 それは、土地と建物の名であり、組織の名でもある。
 「いない」人間だからこそ、任せられる仕事がある。強盗、暗殺、ともかく、話し合い以外のあらゆる手段の手先として。
 そして、Sさえあれば孤児であってもこの街では無視されない。彼らは、無視されないだけのSを集め、皆でこの街から脱出することを夢見ている。

 13歳になった孤児は、初仕事を請け負う。
 アキラとユイは、無事に初仕事を終えた帰り道に、とある国のS輸送車の強盗に居合わせてしまった。
 二人はあらぬ嫌疑をかけられ、孤児院長ナツの抗議も虚しく、賠償として孤児院の土地の取り上げが決定してしまう。こうなれば、孤児院一丸となって執行日前に真犯人を見つけ出すしか道はない!
 しかし、これは始まりにしかすぎなかった……。
 陰謀と策略の街を、明日のために駆け抜けろ!!

海星梨の妄想

 みたいな。

 ストーリーは重いんだけど、ヒロインのアホさと、主人公のツッコミで軽さをなんとか出して読ませるみたいなスタイルで。
 で、ヒロインがアホだけだとアレだから、高度な知識が必要な魔術は使えないけど、魔力量はすごいやばい。だから、主人公の補助でいざという時はすごい魔術が使える! とかにしておくとバランス取れて良いんじゃない。

 最初は強国だったけどセントラルでの土地をすべて失って転落した国の外交官が「貴様らの土地などない! そこはどこかの国の土地だ! だから我々が取り返す!」と発狂したり。
 街生まれだけど、両親ともに外交官だったから「両国平和の象徴」として出生が認められ、何不自由なく育った少女キャラが登場したり。
 で、主人公たちに感化されて「私、味方になるわ」と言いながら両親に超反対されて、その両親の手で「象徴に心入らない」と精神汚染系の魔法で廃人にされて読者のトラウマになったり。
 みんなの優しいおねーさんな孤児院長が超凄腕の暗殺者で千とか殺してたってことが露見した直後にお亡くなりになって読者のトラウマになったり。
 親友だと思っていた本国の王様に妬み嫉みから裏切られて入街許可証を紛失して街から出れなくなった超強いイケオジが仲間になったり。
 3・4巻あたりで作戦かなんかで街の外へ出て、なんか壮絶な悲惨を目の当たりにして「外も中と変わらないんだ」って主人公コンビが超ショックを受けたり。
 小国でも強み(紙幣Sの製法とか?)を持って渡り合ってる策謀系おにーさんが歩み寄りからの裏切りという伝統芸を見せたり。

 そういうのが読みたい。

 え?
 そこまで換骨奪胎したら、別アイデアだし、自分で書けって?

 いやはや。
 感想だからこそ好き勝手書いてるんですよ?

 アイデアに著作権はないから、「誰か書いてー」でもあります笑



 それでは最後に。
 皆様の読書ライフの充足を祈って。

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