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【単巻5冊読書感想72】『向日葵の咲かない夏』『ねじまき少女』『スラムに水は流れない』『移動図書館ひまわり号』

 残暑もそろそろ引っ込んでくれそうですが、暑いにしろ涼しくなるにしろ、体調が不安な季節柄。

 皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

 わたしは体調が正直、悪いです。

 とりあえず、頭痛が痛い状態がずっと続いています。

 で、「そういう時に読む本」さえ読めなくなちゃったりしてました。

 みなさん、そういう時はどうやって気力を回復してらっしゃいますか?

 読書だけじゃなくて、同じくらいnote記事も書いてなくてたまってます。

 というわけで、ちゃっちゃといきましょう。

 今回の五冊はこちら。



【1冊目】別格のイヤミス!『向日葵の咲かない夏』

※Kindle Unlimited対象(今は外れてます。また夏に対象になるかな)

 読メのキーワード検索、何も入れない時にも表紙が並んでますよね。

 そこにずーっといるこちら。

 去年もKU対象になってんたんですが、タイミング的に読めず。

 今年は夏のうちに読むかーと八月末に連休があったので読んだわけですが……。

 これはですね「意味がわかると胸糞な話」ですね。

 連休の最後に読む本ではない笑

 最初から不穏さはある。

 殺人事件という本筋に関わらない、「ヤバさ」がずっと根底にあって、それが後半でどんどん明らかになっていく。

 尻切れトンボに語られないこともあるんだけど、「あれが放置されてるとか、それも加えて厭だわな…‥…」となる。

 物語がどれだけ読者を厭な気分にさせるか、という方向で構成されているんですね。

 別格のイヤミス。

 これ以上のものは今後出てくるのか? とまで。

 ただ本当に胸糞な厭な小説ですので、読むのは自己責任でお願いします。

 


【2・3冊目】ハードSF、やっぱり向いてないのかも『ねじまき少女』

 いろんなSF賞を総なめしたこちら。

 タイトルもハードSFにしてはキャッチーで印象に残りますよね。

 なんて知識面から入っちゃうということは、そういうことです。

 農作物の、人の病によって文明が一旦崩壊し、「カロリー」を「ねじまき」として農作物から取り出している世界。農作物を独占売買し世界を圧巻している、カロリー企業。
 海面上昇に耐え、苛烈な公共衛生策や自国の固有種の復活でなんとか独立を保っているタイが舞台。

 人口減少の日本で新人類として作られた、ねじまき少女こと人造人間。
 タイの独自の種子バンクをカロリー企業のものにしたいカロリーマン。
 なんとか再起を図ろうとしている中国人難民の老人。
 かつては強行な衛生政策で人々を恐れさせていたけど、今は自由貿易の圧力で斜陽な白シャツたち。

 彼らの命運が交差して、タイの未来はどうなるか……みたいな話ですね。

 わたしは、あんまり……でした。

 基本的に『都市と都市』みたいな、世界観が主に描かれてキャラクターに感情移入しにくいのは苦手なんですよ。

 でも、今回の『ねじまき少女』はちゃんとキャラクターの感情面も描かれているんです。

 でも、ノれない。

 作家さんと、相性が悪いんだろうな。
 『第六ポンプ』の時もそう思ったし。

 なにが合わないって……って語り出したら長くなるので、それはSF専科の方でやります。

 気になる方は、ぜひ覗いてやってください。



【4冊目】インド発の児童書をば『スラムに水は流れない』

 児童書を読んでいきたいなーと、前にnoteの記事でも書かせていただいたのですが。

 図書館のヤングアダルトからこの本が呼んでまして。

 タイトルがさ、もう、キャッチーで捕まえてくる。

 表紙もめっちゃいい。

 インドのスラムに生きる少女が主役。

 なんとか私立学校の通わせてもらっている彼女に、数々の不幸が襲いかかるけれど、なんとかあきらめずに頑張り抜く、というお話。

 小学生中学年向けくらいで、最後はハッピーエンド。

 大人にはちょっとご都合主義に思えるかもしれませんが、現代インドの色々がうまく詰まっていて読み応えはあります。

 一番胸に迫ってきたのは、冒頭の、水不足のシーン。

 一日数時間の配水しかなくて、スラムの皆で水道を共有している。
 これど、温暖化のせいで降水量がなく、その水も止まってしまうかもしれない……。

 というところ。

 ニュースでも記録的猛暑でエアコンをつけましょうとかやってるけど、そのエアコン利用がさらに温暖化を加速させて暑くなるわけで。

 なんて虚しくなったりしています。

 温暖化問題、カースト制度の身分差、スラム出身で学び続けることの難しさ……。

 読書感想文にも向く一冊かもしれません。



【5冊目】現代日本公立図書館の夜明け『移動図書館ひまわり号』

 NDC攻略枠。

 そろそろ、ようやく、図書館学のところを抜けます。

 バーコードもない装丁がシックなこちらの本。

 現代日本の公立図書館のはじめとなった日比野市立図書館の館長さんがその経緯をつぶさに書いています。

 学生の自習の場として、貸出サービスが今のように行われていなかった時代。

 貸出サービスが図書館サービスの主幹となるまでに、どんな苦労があったのか。

 公務員の人事問題、地方政治や、法律改正なんかも関わってきて、公立図書館の置かれている立場がよくわかります。

 インターネット台頭前のテキストですので、図書館学的にはちょっと古い部分ももちろんあります。

 が、図書館好きな方や、昭和を懐かしく思う方は、ぜひ読んでみられてはいかがでしょうか。


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