Takashi Nagai

作業療法士です.短期大学(准教授)で家族支援を研究しています.

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作業療法士です.短期大学(准教授)で家族支援を研究しています.

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最近の記事

家族の機能 その2「教育機能」

家族機能について、前回は「性・生殖機能」について書きましたが、今回は「教育機能」についてです。 教育は家族の重要な機能の一つでした(過去形:泣)。 子供の教育は家族の愛情と責任のもとで、日常生活方法・礼儀作法・社会適応能力の習得ができるように、「自我の確立を助け、自律した人間として成長する最小単位の枠組み」でした。 核家族化が進み、おじいちゃんおばあちゃんから受け継がれる礼儀作法などは減少し、家族の教育機能は低下していると言われている。兄弟の数も減っているため、社会適応

    • 家族の機能 その1「性・生殖機能」

      前回、家族の機能について触れました。その中に5つの視点がありましたので、今回はそのうちの一つである「性・生殖機能」についてです。 ①性・生殖機能 日本の文化的に性については公の場でこの視点での発言は控える傾向にあります。それが夫婦の間には承認される、それがとても重要な機能であるということです。 夫婦間の性が健康な状態は、子孫繁栄につながったり、夫婦の関係性に影響します。 少し昔では子供は家業の担い手として重要視されていましたので、夫婦の性は重要な機能としてあったわけで

      • 家族リハビリテーションの視点その2(家族全体の健康)

        家族の健康には「個人レベルの健康」と「家族の機能的健康」があります。 「個人レベルの健康」は前回簡単にではありますが書きました。 今回は「家族の機能的健康」についてです。 まず前段階として、家族構成員が人間として基本的人権が尊重され健康で幸福な生活が送れることを共通目的として家族が機能しようとします(できるかどうかは別)。 1930年代に社会学者のオグバーン(W. F. Ogburn)は、伝統的な家族機能として、「経済機能」「地位付与機能」「教育機能」「保護機能」「宗

        • 家族リハビリテーションの視点その1

          前回の「家族リハビリテーション」という言葉の提案と創造は、多くの方の目に触れていただき、感謝しております。 家族リハビリテーションを行う上で、まず大切なことは ①家族介護者自身の健康 ②家族全体の健康 この2つに分類されます。 今回は、①について触れたいと思います。 家族介護者自身の健康とは、WHO(世界保健機構)で定義されている 「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあるこ

        家族の機能 その2「教育機能」

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        • 家族リハビリテーション
          5本

        記事

          家族リハビリテーション

          新しい言葉の創造は、たいてい批判の的になるでしょう。 それを想定した上で、「家族リハビリテーション」という言葉を創造したい。 まず作業療法の歩みに看護師の存在は外せません(作業療法士誕生の第一号は看護師でしたし)。その看護では、「家族看護(学)」というものがすでに存在しています。 歴史的には、1970年代から北米を中心に「家族そのものを看護の対象」とする新しい領域として家族看護学(Family Nursing)が誕生し、発達してきました。特に、母子看護学や精神看護学での

          家族リハビリテーション

          家族介護者の想い②

          前回は,家族介護者の想いを部分的にご紹介しました. 今回は,介護は悪いことばかりではないというお話です. すでに,様々な研究で「介護には肯定的・否定的な両側面がある」ことは明らかになっています.介護の研究は,1980年代にアメリカで「介護負担感」についてが始まりとされ,第一人者であるZarit教授の介護負担感尺度は現在でも最も用いられている評価表の一つになっています.この時代は,介護を否定的にしか捉えていない背景がありました. 1990年代に入ると「caregiving

          家族介護者の想い②

          家族介護者の想い

          ・健康関連の患者報告アウトカム(HR-PRO)の測定を目的とした質問票・尺度の作成の質に関するチェックリスト(COSMIN:COnsensus-based Standards for the selection of health status Measurement INstruments)や,心理尺度の作り方(村上宣寛:2006),医学的測定尺度の理論と応用(木原雅子・他:2016)などを参考にして,尺度としての「妥当性」や「信頼性」が担保されるデザインで作成しました.

          家族介護者の想い

          家族介護者の作業適応質問紙の使い方②

          この尺度は自記式アンケート方法で用いることができます。 アンケート項目は16設問です。 「よく当てはまる(1点)」「当てはまる(2点)」「やや当てはまる(3点)」「どちらとも言えない(4点)」「やや当てはまらない(5点)」「当てはまらない(6点)」「全く当てはまらない(7点)」の7件法でチェックしてもらいます。 点数が低いほど作業適応(健康な状態)にあり,点数が高いほど作業不適応(不健康な状態)にあります。 具体的なカットオフ値は,現在,論文を作成中のため,無事に論文

          家族介護者の作業適応質問紙の使い方②

          家族介護者の作業適応質問紙の使い方①

          そもそも「作業適応」とは、なんですか? 作業適応とは、作業療法の専門用語です。簡単に説明します。 作業とは、「日常生活動作(食事や入浴、排泄など、毎日行う活動のこと)」と「仕事(有給・無給は関係ない)」と「遊び(楽しみ活動・レジャー)」のことを示します。 作業が「その人」にとって、望まれる形で行われている(バランスが良好な)状態を「作業適応」と言います。バランスが崩れた状態を作業不適応または作業機能障害と言います。 リハビリテーション(特に作業療法)では、「作業不適応

          家族介護者の作業適応質問紙の使い方①

          家族介護者の作業適応質問紙

          Occupational Adaptation Questionnaire of family Caregiver: OAQC 高齢者を介護する家族はとても増えています。 これまで多くの家族介護者にインタビューしてきました。みなさん,心身ともに疲弊していました。介護のために自分のやりたい事ややらなければいけない事を我慢したり,諦めたりしていることが多く,要介護者のために生きている状態が何年も続いている人がたくさんいます。 私は作業療法士として主に身体障害のある人にリハビ

          家族介護者の作業適応質問紙