家族リハビリテーション

新しい言葉の創造は、たいてい批判の的になるでしょう。

それを想定した上で、「家族リハビリテーション」という言葉を創造したい。

まず作業療法の歩みに看護師の存在は外せません(作業療法士誕生の第一号は看護師でしたし)。その看護では、「家族看護(学)」というものがすでに存在しています。

歴史的には、1970年代から北米を中心に「家族そのものを看護の対象」とする新しい領域として家族看護学(Family Nursing)が誕生し、発達してきました。特に、母子看護学や精神看護学での家族援助や、地域看護学で実践的に発展し、家族を一つのユニットとして、家族の持つ健康問題に取り組む必要性が出てきたからです。日本でも2008年には専門看護師制度に「家族支援専門看護師」が誕生しています。

このことからも医療・福祉の対象は患者のみではなく、患者と共生している家族をも含んでいるということであり、そもそも介護保険は患者を介護する家族のためにできた側面があることからも明白であります。

ちなみに、家族看護は明確には定義されていないです。理由は、家族の捉え方は様々で、機能としての在り方、社会・文化的背景の影響などが絡み合い、明確に定義付けすることが難しいことが要因だと思われます。

私は家族支援を作業療法的視点でアプローチすることを専門としていますが、それは人間作業モデル(MOHO)というものです。MOHOは一般システム理論(General systems theory)という考え方を取り入れており、人は様々な要因が複雑に絡み合いながら作業を遂行していると考えています。この考え方を「システム系」というと私の師匠(山田孝教授・石井良和教授)が教えてくれました。家族看護もこの理論を取り入れ、家族システム理論という考え方をして家族支援している看護師さんがおられます。

対象者が多義に渡ることからも、定義化はより困難を極めるのだと思いますし、定義化することが目的ではないので、様々な形をなす家族に寄り添い看護を実践され続けておられるのだと推測します。そんな看護師さんの存在に感銘を受けています。


さて、隣接領域でこのような捉え方がある一方、リハビリテーションや作業療法でも類似する視点での評価・介入(実践)があっても不思議ではないです。しかし、本テーマの言葉はこれまで耳にしたことがありません。あえて、私はこれからのリハビリテーションや作業療法において、家族支援の重要性を実感してもらうためにも

「家族リハビリテーション」

という言葉を創造したいです。とりわけ、作業療法では健康の定義に幅広く親和することができるので、家族介護者自身の健康への支援を積極的に行うべきだという立ち位置でnoteを書いています。

長くなってきましたので、「家族リハビリテーション」とは?について、シリーズ化していきたいと思います。

今回は「家族リハビリテーション」という言葉の提案・創造でした。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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