家族リハビリテーションの視点その1
前回の「家族リハビリテーション」という言葉の提案と創造は、多くの方の目に触れていただき、感謝しております。
家族リハビリテーションを行う上で、まず大切なことは
①家族介護者自身の健康
②家族全体の健康
この2つに分類されます。
今回は、①について触れたいと思います。
家族介護者自身の健康とは、WHO(世界保健機構)で定義されている
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」
家族介護者は、「介護」することで
・腰や膝など、関節を痛める。
・睡眠不足になり、心身の疲弊が解消されず慢性的な疲労状態になる。
・仕事を十分にすることができず、社会的に孤立状態になり、抑うつ的になる(精神的不健康)。
・仕事が十分にできないことによる経済的困窮。
こういったそれぞれが大きな健康被害を被ることがよく知られており、家族介護者自身の不健康状態はなかなか解決されにくい根深い問題です。
そのため、noteの一番最初に上げた「家族介護者の作業適応質問紙」を開発し、上述したような問題を炙り出せる評価表を作成したわけです。
我々医療従事者は、患者(当事者)だけに焦点を当てて関わるだけではなく、患者(当事者)と共に困りごとを抱えながら生活している方々に包括的な支援を行うことが必要であり、その対象者が家族介護者である場合に「家族リハビリテーション」を行うことが必要であるという主張です。
ときに、家族介護者が精神的に疲弊しているのであれば介護保険のショートステイや医療保険のレスパイトケアなどを利用して、精神的フォローをしたり、家族介護者の悩み事の相談役を行ったりするなどが、具体的な支援方法になると考えています。
この家族リハビリテーションが重要であることは誰もが理解できると思いますが、問題が2つあります。1つは、「明確な答えがない」こと。2つ目は「診療報酬などが発生しないこと」です。そのため、医療従事者として「どこまで関わることができるか」が問題になるのだと思います。これに関しては、これからの大きな課題です。
作業療法士は医学的視点だけで患者(当事者)と関わるわけではなく、社会的視点からも戦略を立てることができる力を持っているため、上述する問題を事例ごとに増やしていくことが現段階でやらなければならないことです。
この社会的視点からの戦略をもっともっと専門職として存分に力を発揮できるようになることは、社会的需要にも則していて作業療法士の発展につながる力だとも思います。。。。
次回は、②家族全体の健康について、書きたいと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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