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サポーターズフリーペーパーが街とチームをつなげるその日まで #01【柏でよりみちアディショナルタイムズ制作秘話】

サポーターズフリーペーパーとは?

ここで言うサポーターとは、Jリーグの各チームのファンを指しますが、その中でもより「チームのファンを増やしたい」や「チームになんらかの形で貢献したい」「もっと深くファンになってほしい」という思いがあり、自主的な活動としてチーム紹介や選手紹介、その日の試合の見立てなどを新聞(フリーペーパー)にして制作と配布をしているサポーターが存在します。

私は千葉県柏市で、柏レイソルの試合を観戦しにくるサポーター向けフリーペーパーの制作・運営をしていますが、その活動をしている上で、他チームでもサポーター主催のフリーペーパーの存在を知ることになりました。

・新潟のアウェイ観戦時に配布する「AlbiWAY」
・神戸アウェイ観戦時に配布する「KOBE AWAY PRESS」
・山梨県甲府のホーム戦で甲府駅前で配布する「バス小瀬新聞」
・広島のホーム戦時に配布する「さんふれぽてと」
・栃木のホーム戦時に配布する「フリーペーパーココはグリスタ(ココグリ)」
・岐阜のホーム戦時に配布する「FC岐阜大好き通信」

他にも、通年版を発行しているサポーターや過去に発行していたフリーペーパーもありました。

「柏でよりみちアディショナルタイムズ」の発端

私の中のきっかけは2つ

・柏の街がレイソルに向いていない
・居酒屋で会った広島サポーターとの交流

1つ目:
当時、私は九段下の武道館の近くが職場で、当然どこかのバンドやら歌手やらがライブをしにきて、そのファンがこぞって集まるのが日常でした。その中で、飲食店がファン向けにメッセージ板を書いていることに気が付きました。その内容は商業的なものもあれば、ただのメッセージだけのものもありました。「〇〇ファンの方へ、チケットをご提示いただくとワンドリンクサービスさせてもらいます」や「〇〇ファンの方々、ライブ観戦お疲れ様でした。どうぞ温かいスープをお出ししますので、中で温まってください。」「〇〇は××出身だそうで、××の郷土料理を出します」など。そこで思ったことは「あれ?柏ってこういうことやってたっけ?」でした。思い出してみれば、観戦者は素通りして帰宅するひとがほとんど。もっと言えば、柏の街のことを知らないビジターサポーターは、素通りするのが当然なんだろう、と感じました。なぜ、商機である試合日に店は何もしないのだろうか?他の地域のアウェイ観戦に行けば、商店街や商工会議所がチラシを配ったり、地域振興のブースを設けたりしていたのに、柏にはその姿がない。もっと、チームが街に出てきたり、街がチームを盛り上げたりなど、当時はまだポスターなどの掲示物ばかりでした。

2つ目:
その当時はサポーター同士の争う姿がよく目につき、もっと幸せな観戦はできないものか、と思っていました。そんな中、広島戦の帰り道に立ち寄った馴染みの店で広島サポーターが入店してきました。今日はどこから来たのか、とか好きな酒は何か?とか今日の試合の貴方のチームのあの選手はいい動きをしていた。などと他愛のない話で盛り上がりましたが、ふと気がついたことがありました。自分はアウェイでこんな体験をあまりしたことがなかった。この体験をアウェイの地でしたらどんな印象を持つだろうか?自分だったら知らない土地で、知らない人と笑い語らうことができたことに喜びを感じるのではないか?と。この時、他サポとの交流は「幸せな観戦体験」のひとつの答えではないだろうか、と考えるようになりました。

似た考えを持つ柏在勤のG大阪サポーターとの出会い

私はフリーランスで、ITエンジニアを職業としていて、「コワーキングスペース(時間貸しシェアオフィス)」で仕事をしていました。そこでは、「おやつタイム」といって、他の会員とお茶休憩をしながら交流をするということをしていましたが、その中で、よく会話をする会員とサッカーの話題になり、その人がG大阪のサポーターであることを知りました。それが今の(初代)編集長です。

彼女は、柏の道は複雑でよく仲間が道に迷う、試合後に飲食店を求めて東京に向かう、といったことがあると言い「柏には都内に負けない美味しいお店がたくさんあるのに勿体ない!」と感じていたそうです。活動を始める数年前にJリーグではある事件がきっかけで、ホームサポーターとビジターサポーターのエリアが分けられたのです。それが原因でビジター側のスタジアムグルメ(スタグル)は2店舗しかなく、もの凄く混んで買えない、といったこともあるようでした。(この問題に関しては、スタグルデリバリーという制度を作れば、解決するんじゃないか?と思っていますが、別の記事で書きます。)

編集長ともう一人同席していたデザイナーの方と話を広げ、スタジアムじゃなくて、街の中の飲食店を使って貰えるように情報発信をしよう!という結論になったのですが、WebやSNSだと「最初の認知に苦労する」ということをよく理解していました。そこで、新聞・フリーペーパーだったら簡単にできそうだし、駅前で配れば確実に目に留まるから、最初は紙媒体で認知を広め、徐々にSNSやWeb、アプリなどで広がりを持たせたら良いのでは?ということになり、活動を始めることになったのです。

悩みに悩んだネーミング

フリーペーパーを作るにあたって、私は絶対につけたいフレーズがありました。新聞といえば、英国で発行されている世界最古の新聞「タイムズ(ロンドン・タイムズ)」にあやかりたい、と思っていました。

「絶対、〇〇タイムズ」ってつけたい!

最初は、「おもてなし」やら「ビジター」やら色々とキーワードが出てきていましたが、「おもてなし」って自分たちが言うとおこがましくない?といい、表に出すのは止めようということになりました。当初は「柏レイソルビジターおもてなしプロジェクト」と仮名をつけていたのですけど。

Twitterのアカウント名が「@rvis_omotenashi」となっているのは、その名残です。

なかなか決まらず、居酒屋に移って食事をすることになりました。そこで、ロスタイムに「タイム」ってついているから「ズ」をつけるとタイムズ紙になるね!でも、「ロス」ってマイナスのイメージだからあまり良くない。でも、ロスタイムがアディショナルタイムに言い方が変わるね、という話題になり、そこで閃いたのが、「アディショナルタイムズ」。

居酒屋に移って5分で決まりました。

居酒屋パワーは偉大です。
意味も上手く多重になり、
「サポーターが街へ繰り出すための『追加時間』」
「タイムズ紙の印象で、『新聞』という印象もつけられる」
「サッカーの専門用語を冠している」

完璧じゃん

そんなこんなで、プロジェクトはスタートすることになりました。

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