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「すごい」と言われたくてブログを書いているわけじゃない


起業したばかりの頃のクライアントさんと久しぶりに話をした。彼女と出会ったのはもう5年以上前のことだ。


当時学生だった彼女も今は立派に社会人をやっていて、夢を追って駆け回っていた僕は30手前の子持ち。「お互い大人になったねえ」なんて言葉を掛け合いながら2時間強、対話をした。


結論から言うと、僕と彼女はもう一度コーチング契約を結ぶことになった。


5年前とは違う関係をもう一度やろう。大人になった僕たちができる対話を。結果を追い求めるのではなく、この時代を生きていく自分のメンテナンスとしての時間を取ろう。


前回の記事でも話したけれど、僕は対話を続けることに大きな価値を見出している。それはクライアントとして受ける時も、コーチとして提供するときも変わらない。



僕はいままでいろんな商品を売ってきた。短期間で人生を変えるコーチング。自分の売りを見つけるコーチング。売上を10倍にするコンサルティング。販売のノウハウをまとめたnoteの発売。年単位のプロデュース。


その時に「これが一番質が高い!」と胸を張って言えるサービスを提供してきた。6年も自分のサービスを売る仕事をしているとだんだんとわかってくる。


「できること」の中にもグラデーションがあって、その中でも特に「クライアントさんから言われると嬉しい言葉」があるのだ。


僕はビジネスについて多く発信してきているから、ありがたいことに「なおとさんのおかげで独立できました!」「初めてのクライアントができました!」と言っていただけることも少なくない。


もちろん自分が魂込めて作ったコンテンツに価値を見出してくれるのは嬉しい。毎日毎日アホみたいにPCに向かって文字を打ってる。


その気持ちが画面の向こうのどこで何をしているかもわからないあなたの人生を変えたのなら、それはすごいことだ。


ただ、本当に欲しい言葉は「あなたのおかげでうまくいきました」ではないことに、最近気づいた。


僕が言われたい言葉は「あなたと一緒にいたい」なんだ。「なおとと話すと楽しい」と言われたいし、「なおとの言葉に救われた」と言われたい。時間を忘れて語り尽くして、そこに「価値があった!」と言われたい。


僕は別に「コーチとして活躍できる人を増やしたい」なんて思ってない。どこの誰が儲かろうと儲からなかろうとどうでもいい。僕は僕の対話で貢献できる人に出会いたい、ただそれだけなんだ。


なんのために僕が経験を発信しているのか。出会うためだ。僕にとってコーチとしての経験なんて「指名されるためのタテマエ」でしかない。ノウハウなんて全部持ってけ。その上で僕と関係を築きたい人だけ、残ってくれ。


だから、「なおとさんの発信をいつも参考にしてます」と言われても、嬉しくないことはないけれど複雑な気持ちになる。「だったら遠くで見てないでこっちおいでよ、話そうや」と思ってる。


僕が本当にやりたいことは、時間を忘れて対話したいんだよ。僕は「コーチング起業屋」じゃないんだ。「おはなし屋」なんだよ。それが伝わってないなあと感じる。


見てくれている人の割に、尊敬してくれている人の割に、僕に直接ぶつかってくれる人は少ない。きっと僕が「すごい僕」を見せすぎてしまっているから、繋がるハードルが高くて高くて仕方ないんだろう。


ここについては今の僕の課題だ。相手に構えさせる何かがあるんだろう。「教える人」「教えられる人」という関係では緊張感も必要なのかもしれないけど、今の僕は対話がしたいと思ってるよ。


「ブランディングを考えなおしている」と最近言っているけれど、だんだん言葉になってきた。最近の僕はこんなことに悩んでいる。これも全部曝け出すから、もってけ。


話はそれたけど、彼女は僕の「対話」を求め続けてくれていた。そして今回約1年ぶりに対話をして、彼女は「私、やっぱりこの対話を求めてるんです」と言ってくれた。嬉しかった。


僕は彼女に新しいプランを提案した。「君と10年対話するつもりで関わるよ」と告げ、5年前に彼女と結んだコーチング契約とは全く違う趣旨のパッケージと、実際にどんなことをしたいと思っているかを説明した。


彼女は「こんなにワクワクすることないですね、嬉しいです」と提案を快諾してくれた。こうして新しい関係性がまた始まった。


コーチとクライアントという関係はとても個人的で、同じものはふたつとないと思う。僕と彼女の関係の上でなりたつものが僕とあなたとで成り立つとは限らない。


だから対話が必要なんだ。話して、感じて、お互いに求めているものを擦り合わせて、現状と理想を理解しあって、できることを提案する。僕はこうやって自分のサービスを売っている。


参考にしたければ参考にしてくれていい。ただ僕は「僕と話したい人」と出会うために毎日ブログを書いている。深く繋がるためにサービスを売っている。



1万人読者がいることよりも、1000人のファンがいることよりも、深く繋がれる10人と出会うことの方が、僕にとっては価値があるし、嬉しいことだ。


「やっぱりなおとさんとの対話は次元が違うんです。ここでしか味わえない感覚があるし、何年経ってもその記憶は色褪せないんです」


ああ、生きててよかったな。そんなことを思った今日だった。


公式LINEで、待ってるよ。


いただいたサポートはミックスナッツになって僕のお腹の脂肪として蓄えられます。