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毎日1曲『三種の神器』20220108-はじめてのチュウ

作詞、作曲、歌唱、演奏、DTMを仕事や趣味にしている人に向けて書いています。毎日1曲、自分の頭の中で鳴った曲を取り上げて、僕の独断で『ヒット曲の三種の神器』と呼んでいる、世界のヒット曲に共通する不思議な法則を数値化して解説をしているコラムです。興味を惹かれたら『ヒット曲の三種の神器』の詳細についての過去記事もご覧ください。

今日の1曲

日付:2022年1月8日
タイトル:はじめてのチュウ
アーティスト:実川俊晴

『三種の神器』度数

ヨナヌキメロディ度:10
弱起度:8
客観描写度:8
解説:
曲を通してサビに1箇所だけシ(7)が出てくるヨナヌキメロディでヨナヌキ度は10にします。Aパートは2拍目または半拍目からの落ち着いたメロディで始まり、Bで期待を膨らませる伸びやかな弱起メロディ、そしてCパートで突然メロディがなくなり「語り」になったと思ったら、すかさず言葉のないウーアーの合図メロディがあって「はじめて〜の〜」という弱起から「チュウ」でサビの1拍目に突入、非常に効果的な弱起の使い方で弱起度は8としました。そして子供でもわかるシンプルな言葉だけで書かれた歌詞は、回りくどい隠喩や装飾がなく、写実的ではないものの感情表現をしないので、客観描写度も8です。主観表現を避けて、初めてのキスだった、なぜか涙が出た、という事実だけを繰り返すこの歌は、聞く人歌う人を選ばない、耳にした瞬間に聞き手のものになる優れたポップソングだと思います。

テレビアニメ「キテレツ大百科」のOPテーマ曲として、1990年にあんしんパパという歌手名義でリリースされました。『三種の神器』度数は総合的に高い、ひとり歩きして不思議ではない曲だと思います。

コメント:
作詞作曲者である実川俊晴さんが42歳の時の作品ということになります。こんな作品が作れて、それを広く聞いてもらえる幸運に恵まれたなら、作者はその1曲で生涯途切れない収入を得る可能性があります。簡単なことではありませんが、チャンスは誰にでもあると思わざるを得ません。実川俊晴さんについて、僕は全く無知でしたが、この記事を書くためにネットを調べて初めて知った印象は、誠実でシャイな、失礼を承知で言えばまるでアマチュア音楽家のような人です。きっと音楽に対するそんな素直な愛情が、この作品にも結実しているように思えました。

各種リンク

オリジナル(Youtube
Jazzアレンジ英語カバー(Youtube)
実川俊晴さん本人の手作り感溢れるホームページ

『ヒット曲の三種の神器』解説記事

大平太一流 作詞作曲の必殺技『ヒット曲の三種の神器』解説記事です、是非あわせて読んでみてください。
①ヨナヌキメロディ/なぜか覚えやすい音階の不思議
②弱起/インパクト大!言葉やメロディが飛び込んでくる
③客観描写/具体的で無感情な描写が人の心に感動を生む


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