秒速10センチの越冬(原稿版)
『群像』1997年06月号
約237枚/400字詰め換算
第40回群像新人賞を受賞したデビュー作です。受賞後、半年ほどで書籍化されましたが、今回は、掲載誌や書籍を底本にしたものではなく、新人賞に応募した際の“原稿”を公開します。なので、校閲や校正を経ていない“なまの”テキストということになります──表記法にはぎこちなさがあるし、誤字や脱字はあるし、誤用とか読みづらい箇所もあるかも…。
悲喜こもごも、思い起こせばいろいろありますが、今ここでデビュー前後の思い出を語ってもしょうがなさそうなので、とりあえずやめておきます。ただ、新人賞に応募するにあたって、もしこの作品がダメなら、もうこれ以上なにも書けないな、と思ったのはたしかです──実際、かなり強めにそう思ったんですけど、でもダメだったらきっと、またぞろなにか書こうとしたんじゃないかと思います。こういうのって、持続可能なあきらめの悪さ、みたいなものですから。
最後にひとつ、よけいなことを言っておくと、この原稿は“再現”です。当時のソフトが使えなくて、データをコンバートしたら、フォントが代替されました。その他にもこまかい変異はありそうですが、おおむねこんな感じだったし、内容的には当時のままです。