最近の記事
アンリ・ベルクソン『道徳と宗教の二つの源泉』レポート (2020年度金沢美術工芸大学「芸術と批評」担当教員:同大学教授高橋明彦)
本稿は、アンリ・ベルクソン『道徳と宗教の二つの源泉』(ちくま学芸文庫、合田正人・小野浩太郎訳、2015年)を用いた2020年度の講義「芸術と批評」(担当教員:金沢美術工芸大学教授 高橋明彦)の内容をまとめたものである。 20世紀フランスを代表する哲学者ベルクソン(1859-1941)は、デカルト以来の心身二元論を時間論に展開した上で、「自由はいかにして可能か」という問題に取り組んだ。ベルクソンの主張は、世界は心で出来ていると主張する観念論にも、世界は物質で出来ていると主張