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甘いもの図鑑

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自分で食べた美味しい甘味を紹介していきます。手土産や、おやつにどうぞ。
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記事一覧

生地を楽しむクレープ【POPHOT(ポポット)】

卵色の生地にくるまった、たっぷりのホイップ、そこにバナナやいちごがごろりと入りチョコレートソースが曲線を描く。そういうものだけがクレープだと思い込んでいた。ステレオタイプは、食べ物にもいつの間にか張り付いてしまう。 その日、私が学芸大学前に行かなければステレオタイプに気づくことすらなかった。 駅から少し歩いて現れたクレープ店、ポポット。 店に入ると外国の人が丸テーブルに座っている。なんだか異国のようだ。 事前の情報で、オーダーするものを決めていたので迷わず「シュガーバ

一口手みやげチーズケーキ【葦】

「葦」という洋菓子の店がある。生菓子も焼き菓子も美味しい。「卵とチーズ」という商品は、一口サイズでスフレタイプのチーズケーキだ。 手土産にちょうど良い、5個入り950円(税込)。店頭に行けばバラ売りでも買える。側面のクリーム色と、上面のこんがりした焼き色が食べる前から期待をさせる。 小判形のフォルムは小包装されているので、お皿に出さなくても、そのままどうぞ。 ふわふわというより、中がしっとりで口で挟むとほぐれる。卵とチーズと言うだけあってチーズ独特の臭みを卵でまろやかに

キャットストリートの裏でパンケーキ【Uzna omom b one(ウズナオムオムビーワン)】

表参道の知らない道を歩いてみたら、みつけた。 階段を降りたところにドアがあって、地下に掘られたようにできている。光を取り入れる大きな窓があり、外からも落ち着いた店内の様子がわかる。 年内に吊るされている小ぶりなランプの光が目に入る。いい灯だな。 席に案内されてからも、外からみた期待を裏切らなかった。大きな窓際にはゆったりとしたソファー席があって、見た目も心地の良い空間になっている。 メニューをみると、甘いパンケーキ、食事系のパンケーキどちらも種類が豊富。 あんずとマ

愛しいタピオカティータイム【アルフレッドティールーム他】

タピオカミルクティー。最初に考えた人を讃えたい。喉を潤すことと、もちもち食感をもたらすことを同時にやってのけるなんて。 甘い弾力はじめて味わったのは、春水堂(チュンスイタン)。タピオカロイヤルミルクティー発祥の店と謳っている。暖かで、甘いミルクティーに時より入ってくるもっちりしたもの。存在を知らなければびっくりしてしまう。知ればやみつきだ。 夏の潤い夏になって、タリーズにもそのメニューが存在していることを知る。透明なプラスチック容器にゴロッと氷が入り、その合間を縫うよ

もなかの付加価値【空也】

実はまだ自分で買ったことがない。たまに実家に帰ると遭遇する、もなか。こうすると日持ちするからと、一つ一つラップに巻かれ繭の様な姿を私は軽視していた。それは大変恥ずべき行為だった。 その日の実家は賑やかで、いとこ夫婦とその子供姉妹が遊びにきていた。 例のごとくラップに巻かれた、もなかが登場した。子供は最初こそ警戒したが、ラップから取り出した姿を見たら安心し口へ運んだ。 9歳の姉が食べ終わった後、「すごく美味しかった」と静かな声で言った。 この子の舌は信用できる。なにせ、

魅惑のレモンタルト【フロムアファー倉庫01】

魅惑のレモンタルトに出会った場所は、倉庫。 蔵前あたりは、最近古くなった建物を改装して新しいお店ができている。 町に溶け込みすぎていて、裏からは絶対にわからなかった。 だけど近くまで行くと、なんとも良い佇まいで入らずにはいられない。わざわざ足を運んでよかったなと思う。 先にレジでオーダーするスタイル。お店を調べている時に知ってはいたけれど、実物を見てこれはいいと思った。こういう姿をしたレモンタルトは、初めてだ。 宝石みたい。 紅茶と一緒にいただきます。 味も上品

あんこ界の革命児、あんバン【TORAYA CAFE・AN STAND北青山店】

型に入れてゼラチンで固めれば羊羹、パンの中に入れれば、あんぱん。汁の中に餅を入れれば、おしるこ。あんこのおやつなんて発明され尽くされたレッドオーシャンじゃないか!と思っていた。 そういう諦めの境地に、突如出現したAN STAND。 その店は、表参道の大通りから少し奥に入ったところにあった。 白くてすっきりとした美しい佇まい。小さいけれど、じわじわと迫る存在感がある。二階に虎がいた。 店内に入ると、レジカウンターなどの角がアーチ状になっており、あんこの丸みを彷彿とさせる

松陰神社前のホッと一息【カフェ・ロッタ】

世田谷線に乗って、松陰神社前で降りる。 すぐに良い街だとわかって、気に入ってしまう。 ここには新旧が良い具合に混ざり合っていて、新しい文化を形成している。 うーん。いい商店街。これは歩きがいがあるよ。 来たらきっと立ち寄らずにはいられない古本屋さん、nostosbooks。そのガラス張りのおしゃれな佇まいは、若者もシニアも、つい吸い寄せられてしまう。 その並びにあるのがカフェ・ロッタ。 小さなお家のような建物は、何屋さんなんだろう?と興味がそそられた。 店内に入

酒種あんぱんのあんこを選ぶ楽しみよ【銀座木村屋(銀座本店)】

銀座の大通り。数メートル離れた場所から賑わいが漂う。 その時は、まだパン屋さんだとは思わなかった。 「キムラヤノパン」という縦看板は目立つはずなのに、街に溶け込む。 吸い込まれるように人が入っては出て行く。 店にだんだん近づいて、ガラス貼りの店内が見えたら、入らない理由はなくなっていた。 数種類、ずらりと並ぶ、あんぱん。 「お決まりの方、どうぞ。」 女性の店員さんが、慣れた手つきでお客のあんぱんをピックアップしていく。 さすがは、あんぱんの元祖「木村屋

ホットケーキで、浅草の甘いよりみち【珈琲天国】

休日は少し並ぶかもしれない。 並んでいるときに店の小窓をのぞく。 運ばれてきた2段のホットケーキは、更にお客の口へ運ばれて、ほころんだ表情を作っていく。 いい仕事ですね。 席に案内されたら、ホットケーキとコーヒーのセットを頼む。 待ちながら、店内の暖かい空気を感じる。 どら焼きより少し大きいくらいかな?形のいい丸が2枚、お目見えする。 何もかけずに1口食べてみる。 やさしい。 そして軽い。 どうして、こんな風にふんわりと仕上がったのだろうか。 生