試し出勤、はじめました

1月4日(月)、3ヶ月ぶりに出社した。前日は寝付けなかった。出社したらなんて言おう。ああ言われたらこう返そう。パターンA、パターンBと必要以上に設定を考えた。菓子折りに付ける3,4文程度の手紙を5回書き直した。会社の人はみんないい人なのに出社するの怖いな。

ふと、学生時代を思い出した。夏休み明けの新学期、教室に入るのがなんとなく苦手だった。親しい友人はそれなりにいたし、クラスにも馴染めていた。でも、数週間ぶりに友人たちに会って、なんと声を掛けたらいいのかと不安だった。「おはよう、久しぶり」で済むのは分かっているが、数週間ぶりに顔を見て何コイツって思われないかな、と漠然とした不安を抱えていた。数週間でクラスのみんなが私の存在を忘れるなんて、どんなSFだ。そんなこと、杞憂に過ぎない。

今回も考えなくていいことを必要以上に考え、取り越し苦労をしていた。そして変に疲れ、若干寝不足で出社当日を迎えた。といっても、今月は「試し出勤」。週3回、3時間程度の出勤だ。眠くても乗り切れる。以前は電車で通勤していたが、気分が悪くならないか不安だったので初日は歩いて行こうと思った。歩ける距離なので、少し寒いが散歩に丁度いい。しかし、年末年始の悪天で路面が凍っていて、派手に転倒した。滑り出し好調だ……。スケートでもできそうなほど凍っていたので歩くのを諦めた。タイミングよくタクシーが通ったので乗ることにした。青あざができるほど盛大に転んだはずなのに思ったより痛くない。どうやら頭痛にと思って飲んだ痛み止めが効いていたらしい。まさかの作用にグッジョブ。

会社の前までタクシーで運んでもらったので、もう逃げられない。少し動悸があったが、しょうがないから出社した。この日は、会社全員にとって2021年の仕事始めの日。ぽつぽつと新年の挨拶巡りが行われていた。私も流れに沿って、新年および復職の挨拶巡りをした。静まり返ったオフィスで私だけがうろちょろする状況にならなかったので、この日を復職初日にしてよかったと思った。

「あけましておめでとうございます。しばらく不在にしてご迷惑をおかけし申し訳ございません。本日より復帰します。本年もよろしくお願いいたします。」前日に考えたテンプレートを20人ほどに繰り返した。「よろしく」だけで終わる人もいれば、「戻って来れてよかった。いろいろ相談乗るからなんでも話してね」と言ってくれる人など返答は様々だ。それに応じた言葉を紡ぐのに脳をフル回転させた。休職期間中、こんなに多くの人と話すことはなかった。話を聞いて、内容に応じた返答を相手の立場に合わせた言葉遣いに変換して発言するのは、こんなにも脳を働かせるのかと驚いた。

初日は挨拶と今後の流れの確認をして帰宅した。気疲れしたのか帰宅してすぐ赤ちゃんのように滾々と眠った。

翌日は在宅で3時間程度仕事をする予定だった。しかし、前日の疲れもあってほとんど何もできなかった。辛うじてパソコンを立ち上げたが、ぼーっとしたり気分がザワザワしたりと何も手に着かない。割り振られた仕事の量は、以前と比べてはるかに少ない。〆切も急じゃない。それなのに、早く終わらせないと次が終わらない!と気持ちだけ焦って涙目になった。

試し出勤をしてまだ2週間も経っていないが、今のところ1日置きでしかがんばれない。しかも活動時間は3時間。パソコンに向かったり人と話している間、しっかりしなきゃと目に力が入っているようでひどく疲れる。睡眠時間が長くなった。昼寝を合わせると10時間ぐらい寝ている。寝ている間はネガティブなことを考えず、心身ともに休められるので今はいいことにしよう。

未だに大きな音や人混み、気持ちの焦りで冷や汗タラタラになったり涙目になったりする。電話の音は怖いし、内線と耳鳴りの区別がつかないときがあるし、肋骨に沿ってチクチクと針で刺されたような痛みが走ることもある。でも、こうなってしまったからにはしょうがない。来年度には通常勤務に戻ることを当面の目標とする。わがままな話だが、もうしばらくは会社にめちゃくちゃ甘えようと思う。だって私、今、一日10時間寝る赤ちゃんだからね!!!


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