二級建築士 独学合格体験記 その12 ~最終回、試験直前と当日の記録~
前日はひと休み
今回は試験の直前の過ごし方と当日の様子を記します。
製図の勉強は1課題だけでも結構エネルギーを使うので、前日は課題に手を付けませんでした。
午前中には試験のために道具をまとめたり、軽食の買い出しに行き、午後は当日の服装を決めたり試験時間や場所の確認をして早めに休みました。
試験にはお昼休みが無く5時間通しなので、ゼリー飲料やコーヒー、ペットボトル飲料、カロリーメイト的な軽食を持参しました。
当日はこれらを机の上に置いていても、指摘はされませんでした。
学科試験同様、ここまできたら今更どう足掻いても結果は変わりません。
勉強は余裕をもって、できることなら1週間前には「いけるぞ!」というくらいまで持ってきたいところです。
私は数日前にギリギリ間に合ったといったところでしたが……
試験当日
開始前は割と暇
駅から会場までの道中は、学科試験と同様、資格学校の先生やアルバイトさんがずーっと並んでおり、やはりチラシ付きティッシュ配りをしていました。
学科の項にも書きましたが、住所や名前を書くことを引き換えに飲み物やカロリーメイトを配っている資格学校さんもいましたね。
私は面倒でもらいませんでした。持参していますし。
それに、試験を無事に受けて合格することが第一なので、試験前に余計な寄り道はどうかとも思いました。もらうかどうかは個人の自由ですが。
会場入り口で自分の教室を確認し、各種道具の準備、ストレッチ、お手洗い、持参した用紙に線を引いてみたりとリラックスして過ごしました。
学科試験以上に直前になってまでやることがないので、ここまできたら焦らないことが大事な気がします。
試験開始! ……え?
注意事項の説明が終わり、エスキス用紙、回答用紙、課題が配られ試験が始まりました。
トイレは試験中でも行けるので安心してください。
なんだかんだで落ち着かないところがあり、いきなり始めると問題がうまく頭に入りそうになかったので、一呼吸おいてからにエスキス(下書き)に取り掛かりました。
人によりますが試験開始からエスキスが終わるまで1時間半くらいでしょうか。
私は少し時間がかかって1時間35~40分くらいだった覚えがあります。
早い人はそんなにかからないで製図に入っていましたね。
ここで失敗すると取り返しが付かないので、急ぎつつも問題文をしっかり読み込み、解釈や数字を間違えていないか、指示を見間違えていないかを十分チェックしながら進めました。
開始直後は気持ちが浮ついてしまっていることもあるので、焦らず確実にエスキスを完成させたかったので予定時間をややオーバーしてしまったといったところです。
そして、周りも製図に取り掛かり始めたところで驚いたことがあります。
なんと教室の1/3くらいの人が「立って描いている」のです。
回答用紙は大きく、上段に1、2階の平面図、下段に立面図、1F天井2F床伏図、右に矩計図を描くレイアウトでした。
そのため上段の図面を座ったまま描こうとすると手元から遠くて描きにくいので、立って描いている方がいらっしゃいました。
カンニングにならないの?
と思いましたが、試験監督が何も言わなかったのでアリなのでしょう。
だいぶグレーな気もしますが……
私は立って描く練習をしてきませんでしたし、カンニングを疑われても嫌だったので座って描きました。
ちなみに私はこの「上段遠い問題」は回答用紙を上下にズラすことで対策をしていました。
上段を描いているときは、下段半分の回答用紙がペロンと平行定規から下がっている状態にセットして、紙自体を自分に寄せました。
そして、下段を描くときは回答用紙を普通にセットします。
自分で勉強しているときからこのやり方だったので、特に苦ではありませんでしたし、試験監督さんからも指摘はありませんでした。
回答用紙を普通にセットすると上段はとても描きづらいので、立つか用紙を上下にズラすかの対策はした方が楽に描けます。
個人的には立って描くと腰が痛くなりそうなので、用紙を移動させた方が楽かなといったところです。
試験終盤
試験終了40分前にはとりあえずすべての図面が描き終わっていました。
ここからは見直しと外構です。
まずは図面の見直しです。
指示されたことは守れているか、図面に大きな不備はないか(通し柱が無い、寸法が記入されていないなど)を確認します。
問題が無さそうなら1階平面図の庭に植栽やタイルを描いて、図面の密度を高めていきます。
やはり、外構が何もない図面はスカスカで仕上がりが甘く見えてしまうので、蛇足にならない程度に外構も仕上げるに越したことはないかと思います。
そんなこんなをしているとあっと言う間に時は流れ、試験終了を迎えました。
試験を終えて
試験時間が終わり、回答用紙の回収されるとあっさり帰宅です。
5時間は長いようですが、本当にあっと言う間に終わります。
せっかく用意した軽食も食べている暇なんかないくらいに結構カツカツで、周りも余裕がある方はいなかったように見えました。
例年、立面図は「南側」か「接道側」が多いそうなのですが、この年は道路に面していない「東側」だったこともあり、試験後には立面図の向きを間違えたと話している方が多くいらっしゃいました。
実際、製図試験の講評でも立面図の向きの間違えが多かったとあり、これは1発不合格になるので、やはり初めの時点で問題文を正確に読み込むことが大切だったと感じました。
その点「ハウジングインテリアカレッジ」さんの課題は毎回立面図の方向が異なる指定になっていたので、十分対策ができていましたし、練習課題の方が圧倒的にボリュームが大きかったので、試験本番は余裕がありました。
また、YouTubeチャンネル「おしゃべり建築士」さんでは「図面の一言説明欄でエコ関係を聞かれそう」と言って対策していた部分はズバリ当たっていたので、とても助かりました。
おわりに
学科の勉強を含めると10カ月の長丁場を乗り切ることができ、製図試験の帰り道は気持ちの良い達成感と解放感に包まれていました。
製図試験で明らかなミスがあったり、未完成ではこういう気持ちにはなれなかったはずですから、頑張って良かったです。
製図試験の採点は完全にブラックボックスで、学科試験のように完全な自信を持って待つことはできなかったので、合格発表の12月までは多少ソワソワすることもありましたが、合格が分かったときは嬉しかったですね。
昨今、専門学校や大学の建築学科を卒業すると一級建築士の受験資格を得ることができるところが多いため、二級建築士の資格そのものや試験情報の需要は少ないかもしれません。
一級建築士の取得年齢が平均30歳を下回っていることからも、そのことが伺えます。
建築士自体「足裏の米粒」と言われ「取らないと気持ち悪いけれど、取ったところで食えない資格」と揶揄されがちで、特に二級建築士はその傾向が強いですが、一般的な住宅の設計や造り、設計の意図を理解するには勉強して良かったと思っています。
どんな資格も、無いよりあるに越したことは無いので、二級建築士試験の受験を検討している方は是非挑戦してみてはいかがでしょうか。
ネットで言われるほど難しくはないですが、それでも長期戦は避けられませんし、試験前の1ヵ月はそれなりの努力が必要なくらいの難易度ではあります。
この一連の投稿が頑張る人のお役に立てることができれば幸いです。
それでは、これにて「二級建築士 合格体験記」を終わります。
お読みいただきありがとうございました!