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人間×機械×知能メタバースにおけるユーザーエクスペリエンスの研究開発はエンタメ技術からコミュニケーション、コンヴィヴィ技術へ。

2023年3月6日、日本機械学会で講演させていただきました。正確には「日本機械学会(JSME)情報・知能・精密機器部門講演会(MSE&IIP)」という日本で最も歴史ある学会の「横糸」となる部門だそうです。情報・知能・精密機器部門の大きな分野には、情報機器コンピュータメカニクス、精密機構マイクロメカトロニクス、機械の知能化、医療福祉機器、マイクロエネルギーなどがあります。

本当は物理で参加したかった…九州工業大学にいきたかった…。

https://www.iip-conference.org/

さすがに、東京工業大学の知能システム科学を精密工学研究所の研究室の卒業で出たとはいえ、聴衆の皆様に腑落ちするお話ができるかどうか…不安がなかったといえばそんなことはないです。事前にオーガナイザーの先生と綿密に論点をディスカッションさせていただいたうえで、ちょうど100ページぐらいのスライドを準備させていただきました。
(資料の準備にご協力いただいたグリー広報およびXRC株式会社のみなさんありがとうございます!)

長すぎる略歴を1ページの見開きに収めた書籍「白井博士の未来のゲームデザイン~エンタテイメントシステムの科学~」(2013)のマンガより
グリー、法人向けメタバース事業・VTuber事業の2社を新設立(2023/3/2

ちょうど3月1日に新会社が設立されたところでした。

そして、弊ラボのほうからも新プロジェクト「mmm」のティザー動画を公開したところでした。

[mmm] Metaverse Mode Maker、のお話は業務っぽいところもあるのでまた別の機会に別のメディアでお話したいところですが、一言で…。

https://twitter.com/o_ob/status/1632582084983427072

…とすかしたことを述べておりますが、今月になって突然伸びてきた AIVTuber/AITuberの研究を一部でも公開できてうれしかったです。

ふりかえると1年以上前でした。やったね。

さて講演の中身ですが、これは日本機械学会のご聴講の皆様にお届けしたものなので(毎回毎回の講演で異なる準備、デリバリーをしております)、割愛するとして、結論としては以下。

結論スライドより。

人間×機械×知能メタバースにおけるユーザーエクスペリエンスの研究開発はエンタメからコミュニケーションそしてコンヴィヴィ技術へ「作られたおもてなし」から「みんなで楽しむ」へ

というお話をさせていただきました。

コンヴィヴィ技術、すなわち「100人でおにぎり食べた、おいしい」を実現するような技術ともいえますね。もちろんこの前段の話としては

ワークショップx研究開発=社会実装
Technology→Communication→conviviality

というお話や、今までの「ワークショップx研究開発=社会実装」の事例集

本当は動画ももっといっぱい紹介したかった…

などなど「普通に研究開発するだけでなく、子供で使える、子供でも分かるような話をすることの大切さ」をお伝えさせて頂きました。

子供でも分かるようなお話としてこのへんの開発が私の博士論文、人間×機械×知能×精密工学の原点だったからかもしれないですね。

さて機械学会だけにソリッドな研究をされている方々からのご質問がなかなかありがたくて、質疑応答パートも様々なお話をさせていただきました。

・欧州のクルマ産業でのVR活用事例
・その現場でのインターン活用事例
・UGC (User Generated Contents)がめっちゃ大事
・仮想通貨とかも価値の交換だから価値の創出が大事
・SONY「mocopi」のような視点すばらしい
・例えばビデオ再生機→ビデオカメラや編集機
・例えば冷蔵庫だって「みんなで料理を楽しむ装置」
という視点などなど…。

ところで講演中でも引用させていただいた、落合陽一先生の「シンギュラってコンヴィヴィ」についてのディスカッションですが、

そのあと、オンラインでのディスカッションが続いていましたのでフォローアップしたいと思います。

実はイリイチは「Tools of conviviality」のなかで「みんなで楽しむ」といった要素を、そこまでヒューマンな話としては書いていない感じでした。

実際には(英語版はこちらで読めます)イリイチは哲学というよりも、機械工学やエネルギー学、トランスデューサとしての最適な道具として自転車を考えており、なにこれめっちゃ機械工学の話。

なお最近ではコンヴィヴィアル・テクノロジーは「コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ」緒方壽人 (著)など研究されている方もいらっしゃいますので、これを機会に深めていくのもよいかなと思います。

私自身のスタンスとしては、バーチャルとかメタバースとかいった、コンピュータ上のコミュニケーションも大好きなのですが、もちろん、触覚デバイスやハードウェアも大好き、そしてなにより2,000kcalぐらいで動いたり考え事をしたりできてしまう人間のハードウェアというものもたいへんなコンヴィヴィアルな"道具"であります。
講演の中でも、今後、機械工学の粋であるロボット技術だって(私が東工大の知能システム科学で学んだ頃のような)ソフトウェアロボティクスやハードウェア、コミュニケーションロボットといった分野から、こちらの人気配信者・夏野星空さん他が活躍した焼肉のワタミさんで採用されたロボットサイネージとのコラボや「バーチャル店員」など、「機械としての肉体、生き方」が真面目に考えられる時代になってきているよね、なんて話もさせていただきました。

https://www.youtube.com/watch?v=DDVmaoCW38o


エネルギーを消費することが美徳とされた時代には気がつかなかった、「マスプロダクトのユーザとしての我々」が、いつまでも"消費者"と呼ばれているのではなく、その楽しみや、人々とのイキイキした活動のために、道具を使っているのだ…ということを見直すことが必要だと思います。

私はエネルギーが余ったら、もっと踊ったり歌ったりしたい!

以上、講演ふりかえりでした。
日本機械学会のみなさまの研究活動が素晴らしいものになりますように!
ここまで読んでくれて、ありがとうございました。
白井暁彦 拝

p.s. お仕事のほうのnoteもフォローお勧めします!


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