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#今月よかったコンテンツ【2024年4月】

4月の個人的よかったエンタメ・コンテンツをまとめました。GWのウォッチリストの参考などにどうぞ。

ご意見・ご感想・苦情などありましたら、X(旧Twitter)のDMにお願いします。
(ヘッダー画像:映画『悪は存在しない』より)



映画

今月の個人的ベスト10はこちら(試写で観たものも含む)

以下、4作品をピックアップ。


『悪は存在しない』

ヴェネチア映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)の快挙、濱口竜介監督の待望の新作。
濱口監督は言葉による交感、対話の可能性を信じている作家だと思います。
そしてだからこそ、その裏返しとしての理不尽な裏切りの悍ましさ、不条理なコミュニケーションの断絶をありありと描くことができるのでしょう。
あるべきこととして揺るぎなくそこに存在する自然の現象と、まるで対極にある人間本位の軽薄で作為的な浅ましい行為。
『悪は存在しない』というタイトルは「はたして本当にそうだろうか?」という逆説的な問いかけ、皮肉のようにも思えます。


『ミッシング』

試写でひと足早く観ました。
𠮷田恵輔監督の真骨頂、観る者の心をこれでもかと抉る沈痛な悲劇……。
どうしたって都会的で華々しいイメージがついて回る石原さとみが、完全にオーラを消して「地方都市によくいるひと」になっています。
連日ボディソープで髪を洗って傷ませたり、合わないリップクリームでわざとくちびるを荒れさせたり、並々ならぬ役作りだったそう。
彼女の役者としてのキャリアを語るうえで絶対に外せない重要作になると思います。
5/17(金)劇場公開です。


『異人たち』

高層マンションの無機質で寂れた雰囲気とナイトクラブの空虚な賑やかさ。
主人公アダムを演じたアンドリュー・スコットも素晴らしかったのですが、相手役のポール・メスカルが『Aftersun/アフターサン』での役柄と重なるところがあり、個人的にはかなりくらってしまいました。正直、まだ受け止めきれていないです……。
すでに公開規模が縮小してきていますが、心に余裕がある方はぜひ劇場で観てほしい作品です。
※自死描写、またホモフォビア(同性愛嫌悪)を表す描写があります


『アイアンクロー』

主演ザック・エフロンを筆頭に、俳優たちの肉体改造っぷりがスゴイです。
そして実際に技を繰り出すリングでの立ち回りに思わず見入ってしまいました。
一見するとガチガチの成り上がりスポ根ものっぽいですが、家族(とくに兄弟)間の関係性ドラマに重点を置いて描いており、プロレスに明るくない人でもばっちり楽しめる作品だと思います。


短編映画

『アット・ザ・ベンチ』第2編「まわらない」

映像監督・写真家の奥山由之氏による自主映画プロジェクト『アット・ザ・ベンチ』の第2編。
脚本:蓮見翔(ダウ90000)、出演は岸井ゆきの、岡山天音、荒川良々というなんとも贅沢な座組。
多摩川沿いの寂れたベンチで繰り広げられるワンシチュエーションコント、軽妙な掛け合いにニヤけがとまらない。
しかし、スーパーのお寿司という小道具ひとつでここまで話が膨らませられるなんて……。
ちなみに第1編は脚本:生方美久(ドラマ「silent」「いちばんすきな花」など)、出演は広瀬すず×仲野太賀でした。これまた豪華な面子。


TVドラマ

連続テレビ小説「虎に翼」

4月から始まった朝ドラ「虎に翼」。わたしも激ハマリしております。
毎日の放送を心待ちにしているなんて、いったいいつ以来だろう……。
5週目の現時点ですでに「向こう10年は語り継がれるであろう伝説的作品の誕生に立ち会っている」……そんな実感があります。
とりあえず観るならダイジェスト版でも全然OK、今からでもまだ全然間に合いますよ!
放送全話・ダイジェスト版はNHKオンデマンドで観ることができます。


「滅相も無い」

毎日放送「ドラマイズム」枠で放送中のテレビドラマ。
脚本・監督は加藤拓也氏。演出・脚本『ドードーが落下する』で第67回岸田戯曲賞を受賞したほか、映画『わたし達はおとな』『ほつれる』の監督を手掛けるなど、マルチに活躍されている注目の劇作家です。
そんな彼がそれぞれの分野で培った「演劇的要素」と「映画的要素」を混ぜ合わせる形で、いままでになかった作品を作る……というのが今作の狙いとのこと。
TVerで見逃し配信があるほか、Netflixでも配信中(放送終了後に各話追加更新)です。


コラム

読む虹クロ 世の中は今、変わっている途中/鈴木亮平

Netflix映画『シティーハンター』で主演を務めるなどめざましい活躍ぶりの俳優、鈴木亮平氏のコラム。
自身もジェンダーのことについて、悩んだり後悔したりしながら向き合っていることを正直に綴っていて、好感をもちました。


大風呂敷を広げて考える、これからのお笑い界【ヤーレンズ出井隼之介「可否伝」7杯目】

お笑いコンビ・ヤーレンズの出井隼之介氏によるコラム。
先日解散した”ある女性コンビ”の話題に触れつつ、「男女の非対称性」を丁寧に説いていく。
おじさんを自認する男性の中堅芸人からこうした発信があることで、男性権威的なお笑い業界に少しずつでも風穴があいていくといいなあと切に願います。
「風呂敷」の前フリからオチまでの流れが綺麗で唸りました。


ライブ・イベント

サカナクション アリーナライブツアー『SAKANAQUARIUM 2024 “turn”』@幕張メッセ

紆余曲折を経てのアリーナツアー、感慨もひとしお。
「変わらずに変わり続ける」というキャッチフレーズの通り、過去のライブ演出のいいとこどりをしつつ、変えるべきところは変えるという意識が明確に見えたのも良かったです。
追加公演も開催決定、まだ彼らのライブを見たことがないという方はこの機会にぜひ。


音楽

宇多田ヒカル『SCIENCE FICTION』

活動25年間に制作された全作品の中から、宇多田ヒカル自身が収録曲を選出したオールタイムベストアルバム。
再録・リミックスされた過去リリース曲もさることながら、やはり特筆すべきは新曲「Electricity」でしょう。
歌詞を一見しただけでは予想できない譜割り、グルーヴにあらためて度肝を抜かれました。
すでにチケット入手困難となっている全国ツアー、期待に拍車がかかりますね。


girl in red『I'M DOING IT AGAIN BABY!』

今年のフジロックに出演決定しているノルウェー出身シンガー・ソングライター、マリー・ウルヴェンによるソロプロジェクト”girl in red”の2ndアルバム。
先行リリース曲の「Too Much」、サブリナ・カーペンターをゲストに迎えた「You Need Me Now?」など、ポップで聴き応えのある10曲を収録。


カネコアヤノ『ラッキー/さびしくない』

アルバム『タオルケットは穏やかな』から約1年3ヶ月ぶりの新曲。
かなりシューゲイザーに寄ってきており、いい意味でびっくり。


漫画

インタラクティブコミック 運命の巻戻士VOL.4「運命の名探偵」

コロコロコミック連載中の漫画『運命の巻戻士』と言わずと知れた『名探偵コナン』が、選択によってストーリー展開が分岐する「インタラクティブコミック」としてコラボ。
不慮の死を遂げた人々を救うためにタイムループする”巻戻士”の設定とコナンの推理要素が見事にはまっている。
さりげなく仕込まれた昨年の「M-1グランプリ」のネタなど、こどもだけでなく大人もしっかり楽しめるコンテンツでした。


振り返り・雑感・メモ


国立新美術館のマティス展に行きたい。このままだとタイミングを逃しそう

・第129回文學界新人賞の2作品が読みたくて文學界 2024年5月号を買ったものの、まだ読めていない。読むぞ

すばる 2024年 01 月号掲載、石田夏穂「世紀の善人」が相当面白いらしい。読むぞ

・ひとつひとつのトピックにそれなりの分量のコメントをもっさり書いてしまい、どうしても結構なボリュームになってしまう。もっとさらっと書いて、さらっとおわるようにしよう。というかこれ、ほんとうに需要あるの……?

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