マガジンのカバー画像

お茶師日記

18
山のお茶づくりなどを手伝いながら、自由に生きていきたいおっさんのエッセイです。
運営しているクリエイター

#日本茶

茶園で「生物の進化」を考える!【お茶師日記18】

茶園で「生物の進化」を考える!【お茶師日記18】

雑草の種類は多い
 茶園で草取りをしていると、草の名前が知りたくなる。今はスマホで写真を撮ってその場で調べることができるアプリがあるので、片っ端から調べてみる。雑草に関する本も読むようになった。そして改めて気づくのは種類の多さである。
 例えば、幼木園の難敵である「メヒシバ」には、厳密にいうと「メヒシバ」のほか「コメヒシバ」「アキメヒシバ」という近縁種がある。私には同じ草にしか見えないが、これら

もっとみる
つるとり【お茶師日記11】

つるとり【お茶師日記11】

2019年6月13日 

畑仕事

一番茶の工場勤務が終わって20日ほど、家で少しずつ事務仕事などをしていたが、副社長から「2番茶を刈る茶園の『つるとり』やってくれませんか」とメールが入った。
 「つるとり」とは茶株面のヤマイモのツルを除去することである。我が社は山間地にあるが、市街地に近い南部の丘陵地に茶園を借地して経営規模を拡大しつつある。そこに二番茶を摘採する茶園が3か所ある。
 茶園の中

もっとみる
【お茶師日記10】「肩書き」がないと…

【お茶師日記10】「肩書き」がないと…

2019年6月9日

一番茶終了

 工場は6月初めまで一番茶の番茶を製造して終了しました。私はお茶師としては2番茶までお休みです。しかし、幸い仕事がないわけではありません。社長から「今年はGAPを取るので手伝ってもらいたい」と言われていました。

 GAP(Good Agricultural Practice)とは、製品の安全性や環境や労働衛生に配慮した正しい生産管理方法を取り決め、認証を受ける

もっとみる
茶工場に集う人々(その2)【お茶師日記9】

茶工場に集う人々(その2)【お茶師日記9】

2019年6月
 前回書いたような経過があって、この工場は2017年秋から新たなスタートを切りました。
 しかしです。いくら地域の茶業を守ると言っても、経営が行き詰まって解散しようかという工場を買い取って採算の取れる経営ができるのか、と誰もが思うでしょう。これについて新社長にはおそらく2つの戦略がありました。
 1つは会社としての「直営農場」を確保することです。茶栽培をやめていく人が続出する現在、

もっとみる
茶工場に集う人々(その1)【お茶師日記8】

茶工場に集う人々(その1)【お茶師日記8】

 今回は、私がお手伝いしている茶工場(有限会社)に出入りするメンバーについて紹介します。
 会社は、静岡県中部の清流に沿った山間部にあります。「茶工場」といってもお茶を加工するだけでなく、お茶を栽培し、収穫し、販売する。純然たる農業生産をしています。

 会社としての正規メンバーは若い3人。30代の社長と30代の副社長が役員、そして高校を卒業したばかりのT君が社員です。
 3人はこの会社の構成員で

もっとみる
【お茶師日記4】 一番茶が本格化

【お茶師日記4】 一番茶が本格化

2019年 4月28日

いよいよ大型の機械で製茶

 この日から120㎏ラインでの製茶が始まりました。
これまで、少量の35キロ機で製茶していましたが、朝、出勤すると社長が「120キロ機で3つ、葉っぱを流すから、製造頼む!」とのこと。
「今、蒸し始めた。生葉はコンテナの3番に入ってる。葉打機のプールに80㎏くらい入ったら一旦、搬送コンベアを止めて、Tさんの35キロ機の分を蒸して、終わったら残りを

もっとみる
【お茶師日記3】 初揉み

【お茶師日記3】 初揉み

2019年 4月18日

初取引の前日

 翌日に茶市場の初取引を控え、工場の掃除はお休みして初取引出荷用のお茶を初揉みしました。
 この会社(茶工場)は、拠点の山間地だけでなく市街地近くの丘陵地にも茶園を借地して規模を拡大しているので、早場所であるそちらの茶葉を朝からお茶摘みしました。我が家からだと10分もかからないので楽です。

お茶摘み

 会社のメンバーその家族、お手伝いをお願いした人など

もっとみる
【お茶師日記2】
機械掃除

【お茶師日記2】 機械掃除

2019年 4月16日〜
 一番茶を控え、どこの茶工場でも製茶機械の掃除を行います、お茶工場は稼働期間が短かく、我が茶工場でも秋から一番茶まで全く使用していなので、秋冬番茶以降のお茶の残渣や埃が積もっています。
 製茶機械の掃除といっても、それぞれの機械を繋ぐコンベアなども含めると膨大な掃除か所があります。

製茶機械の規模はどう表す?

 ところで茶工場の製茶機械の大きさと数え方について簡単に説

もっとみる
【お茶師日記1】初めて茶工場へ

【お茶師日記1】初めて茶工場へ

2019年4月8日

 私にとって新しい仕事場となる製茶工場へ向かいました。
 この時期、まだ工場は稼働していません。この日は、私を含めこの茶工場にかかわるメンバーに機械操作を覚えてもらうための説明会を開催するので来て欲しいとのこと。

この茶工場の歴史

 この茶工場はもともと集落の共同製茶工場でしたが、担い手の不足や生産者の減少のため、10数年前に再編成し設備を拡大して有限会社組織による広域の

もっとみる