「自分の曲、時間が経つと後悔する問題」を解決するセルフリミックス
2ndシングル「Re:boot」リリース
サイバーファンタジーベースミュージックプロジェクト「Epic Vanguard」で2作目のシングル「Re:boot」をリリースしました。
これは、2022年にochi名義で出したアルバム「Enigmatica」に入っているRe:bootという曲を、Epic Vanguardとしてリメイクしたものです。
歌のトラックとコード進行の一部は原曲のものを流用してそれ以外を別のものに差し替えて作ったので、ochi=Epic Vanguardで同一人物だからセルフリメイク、セルフリミックスということになります。
原曲
リミックスバージョン(今回)
という感じで、聴き比べてもらうと同じボーカルなのに結構違う曲に出来たのが伝わるかと思います。
自分の曲、時間が経つと後悔する問題
「Enigmatica」はサイバーでファンタジーというコンセプトを最初に自分の作品でやってみたアルバムだったんですが、後から聴き返すと色々拙いところが目立つな〜…という反省があり、特にアルバム後半のエレクトロニック・EDM系の楽曲は今となっては耳も当てられないくらいで、何とかしたいな〜と思ってました。
Enigmaticaに限らず、どの曲も出来上がった直後は「すげ〜最高傑作!」みたいな気分になるのに、少し時間が経って聴き返すと「あ〜…何でこれで出しちゃったかなあ…」という風に、直したくなる部分が次々出てきます。(コンスタントに作品リリースしてるミュージシャンはみんなそういう体験あるんじゃないかと思います)
「すぐに出さずに数日、間を空けて聴き返せばいいじゃん」って言われるかもしれないですが、僕は1曲に対して2週間くらいしか集中してられず、それを過ぎると感覚が麻痺してきて、聴いても良し悪しが判断出来なくなってくる(すごく良いとしか思えないか、もう全部ダメな気がするのどちらかに感じちゃう)ことが多いので、外から設定された締め切りがなくても自分締め切りに従ってリリースしてます。
1曲作るごとに何らかチャレンジしているので、数曲作って経た場合は、自分のスキルや感覚が成長してるからそう感じるんですが、その中でも特に自分の思い入れの強い曲は何とかもう一度日の目を見させたい、と思うことも多く、「Re:boot」もその中の1曲でした。
リミックスで変えたポイント
低音域のパワーアップ
Re:bootの最大の反省は、サウンドの弱さと曲展開ののっぺりさで、ボーカル自体はリリックもメロディも含めて気に入ってたので、キック、ベース、その他ドラムのビートを原曲よりも大幅に強くしました。特にドロップのスネアはいい音してるな〜と思います。
1つのリードメロディを繰り返す構造に
原曲は歌を聴かせようという意識が強すぎて、サウンドやトラック側の弱さが目立ってしまったのに対して、今回はリードメロディを新たに付け直し、それを軸に繰り返して展開していく形に変えました。これによってただのバッキング要素が強かった原曲に比べて、サウンド的な主張を強くしました。
フックの導入
以前からサブミットに出すとキュレーターからのフィードバックに「お前の曲、フックがねえよ」と言われることがちょいちょいあったので、フックという概念を加えました。0:50〜1:03の部分です。
チル系の静かな歌の入りを経てキメ的なフックが入った後に、リードメロディが提示されてコーラスに入って四つ打ちになり、そのままビルドアップにつながってドロップ、という段階を経て盛り上げる流れが今回一番気に入ってます。
あと、3:28〜にも同じフックを入れていて、最高潮になったボーカルパートとリードメロディが加わってこの曲一番のカタルシスを覚える、という展開にしてます。
リミックスのやり方
基本は、原曲のプロジェクトからボーカルトラックとガイドで入れていたコード進行のMIDIトラックを抜いて新しいプロジェクトに入れ、その後は曲構成を考えながら肉付けしていき、適宜フックパートを挿入したりして作っていきました。
リミックスというと元の曲のステムファイルを全部もらった上で新しい要素を足したり別のリズムに差し替えたりすると思うんで、今回のRe:bootもやり方としては一般的なリミックスの方法じゃないかなと思います。
思い入れの強い曲にはリメイクでもう一度聴かれるチャンスを
僕はこれまでにも自分の曲のリメイクは何度もやってきたんですが、本当は、リリースした後に後悔がない、聴き直しても大丈夫、という状態で毎回出せるのが理想だとは思います。ただ、どうしたって今の自分は過去の自分よりも成長しているし、いつ聴き直しても大丈夫なくらい完全無欠の状態を常に狙い続けるとリリースのペースも遅くなるだろうし、そうなると完成させた経験を積みづらくなるな〜と思います。
もし思い入れの強い曲が聴かれていない、またはもっと良い形で聴いてほしい、という人がいれば、リメイク、リミックスを自分でやってみるのをおすすめします。
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