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スーパーでおにぎりとビールを買った

 某出版社でのアルバイトを終えた僕は、家の近くのスーパーによる。夜ご飯を手に入れるためだ。僕の自炊と言えば、4パターンくらいしかない。レトルトカレー・レトルトおでん・冷凍餃子・野菜炒め。この4種類である。レトルトカレーについては、祖母から定期的に送られてくる。鍋で湯煎をしたり、お皿に移し替えてレンジで温めることすら面倒が臭い僕は、T-faLの水の中にレトルトカレーを打ち込み、沸騰させる。そうすると、水が沸騰して熱湯になっている頃には、カレーのルーが暖まっているというわけだ。次にレトルトおでん。これも同じく祖母から定期的に送られてきて、まずおでんを鍋に移して温めて食べる。そして残りのスープの中にご飯と卵とチーズを投入し、雑炊を作る。見た目は汚いけれどおいしいご飯と言うのはまさにこのことである。そして、冷凍餃子。業務スーパーにて30コ入りの冷凍餃子を購入し、フライパンで焼いて、ご飯をよそい、ハイボールを作る。最上級コストパフォーマンスを誇る家庭料理が出来上がる。最後に、野菜炒め。ひとり暮らしを初めて1年間くらいは、業務スーパーで豚バラ肉を買って、小分けにして冷凍し、肉野菜炒めを頻繁に作っていたが、最近は肉を買うのが面倒くさくなって、野菜だけ炒め、焼肉のたれを絡めてご飯に乗せ、卵を割って食べている。
 僕の自炊について、僕自身はものすごくおいしいと思っている。が、見た目はなんともみすぼらしいもので、これを料理と言えばどこかから怒られる気がしている。なので、「料理はするの?」と聞かれると、「自炊はしますが料理ではない」と答えるようにしている。

 話がそれた。アルバイトの帰りにスーパーに寄る。みなさんご存知の通り、コンビニよりも酒の値段が安く、お菓子の値段も安く、お惣菜やお刺身やお肉は時によって値下げがなされていることがある。お昼に作られただろうお弁当が、夜には、缶ビール買うくらいのノリで買うことができることがある。そして、お刺身もお肉も、天ぷらや揚げ物のお惣菜もちゃんとおいしい。
 ちなみに、僕が中学生の頃に通っていた塾は、地元のスーパーがメインとなった小型商業施設の中にあり、そのスーパーで、授業前によく揚げ餃子を買って友達と食べていた記憶がある。30円ほどのサッポロポテトを買って食べていた。中学生の頃の僕は、少ないお小遣いでよくそんな楽しみを工夫しながら享受していものだ。今の僕は、かつての月のお小遣いの金額なんて数分で飲み散らかしてしまうだろう。

 いささか前置きが長くなったが、本題に入る。スーパーのお惣菜売り場を覗いてみると、おにぎりコーナーにだし巻き玉子てんぷらおにぎりというものが、タイムセールで安くなって売っていた。僕は居酒屋に行くと、とりあえず、ビールとポテサラとだし巻きを頼むほどだし巻き玉子が好物なのである。そして、高校の合格祝いには、父親に天ぷらの名店に連れて行ってもらったほどの天ぷら好き人間である。さらには、日本人たるもの、おにぎりが好きでないわけがない。ぼくの3つの好物が存分に詰められた大三元おにぎりなのである。

 家に帰ってこのおにぎりにかぶりつきたい。けれど、取り合えあずお風呂に入らなければ。家に帰ってから何よりも先にお風呂に入るというのが、最もコロナ予防に効果的だ。それに、ビールは風呂上がりの方が美味い。このおにぎりは、是非ともビールを飲みながら食いたい。そう思い、僕は荷物を片付けるなり、風呂に入った。

 風呂から出た。さあ、ようやくこのおにぎりを食す時がやってきたのだ。自分では意識をしていないだけで、出版社を出る時から、なんなら働いている時から、このおにぎりを食べることを待ち望んでいたのかもしれない。お米が冷たい。もちろん温かい方が美味しいものはあるが、中には冷たい方が美味しいものもある。「失礼します」と思いながら袋を剥がす。
   さてさて、このおにぎりおお味や、いかに。

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