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「角の夢」~三国志フラグ集 for Biz 其の参

三国志のお話で失礼します🥺三国志は現代にも通ずる、示唆に富んだ面白いお話がたくさんあります。このnoteはBizのためのひとりごとです。

今日は三国志演義に描写されるフラグについてのお話です。
フラグについては其の壱~弐という記事もありますので、もしよろしければご覧ください😉

今回は其の弐の登場人物に関連するお話です。


角の夢

洋の東西を問わず、古来から夢占いは占いの一大ジャンルです。

夢は実に不条理ですが、ときにその人の心理の象徴であったり、将来の暗示だったりすると言われます。

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三国志演義は歴史書をベースにしたファンタジーですので、夢にまつわる出来事や超常現象が良く描かれます。

今回は「角の夢」のお話。登場人物は其の弐に続き、蜀の宰相「諸葛孔明(しょかつ・こうめい)」と将軍「魏延(ぎえん)」です。

古来から国家の重要な決断をする時に「占い」は欠かせないものでしたので、それぞれの君主にはお抱え占い師がいました。良く当たる占い師は重用されましたので、歴史の舞台裏で暗躍した占い師もいたことでしょう。

天文、易(八卦)、風水などのほか、其の弐でも出てきた人相占い、そして今回の「夢占い」など、占い師の得意ジャンルも多様でした。

蜀には「趙直(ちょうちょく)」という、お抱えの夢占い師がおりました。

時は「北伐」という諸葛孔明最期の戦いの最中。提督の諸葛孔明と、将軍魏延との関係性が悪化し、内紛は必至の情勢でした。

そんな秋のある夜、魏延は自軍駐屯地である夢を見て大いに悩みます。

「頭に角が生える夢」を見たのです。

諸葛孔明との対立は決定的で、「やるか、やられるか」の状態でしたので、魏延は「これは良い夢(吉夢)なのか悪い夢(凶夢)なのか」気になって仕方なかったのです。

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そこで夢占いの趙直に相談してみようということになり、陣中の彼を訪ねます。趙直は魏延の夢の話を聴くと、「それは「吉夢」ですね(*‘∀‘)~ホクホク」と言い、続いてその理由をこう話しました。

龍や麒麟などの吉祥獣には角が生えています。角が生えている者に歯向かう者などおりません。将軍のような大人物ならなおさら吉夢ですよ(゚Д゚;)ハッハッ

それを聴いた魏延はアガります。いよいよ自分のターンがきたな……と。

※龍や麒麟などの吉祥獣については、ほかのnoteに書きましたので、よろしければこちらも。

何がフラグ?

魏延が帰陣した後、趙直は「魏延オワったな(~_~;)」と部下に告げます。「で、でも吉夢なのでは?」と部下に尋ねられて、こう答えました。

「角という字は頭に刀を用いると書くじゃろ?頭に刀を用いるときは、斬首されるときよ( *´艸`)フォフォ」

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その後の魏延の結末は其の弐で書いた通りです。ほどなくして部下に裏切られ、「文字通り」その首を斬られました。

ひとりごと

これは漢字圏ならではのフラグですね。ほかの三国志漢字「夢」フラグで、牛を正面から見ると「公」の字に見えるから出世する吉夢、みたいなエピソードもあります。

若干こじつけのような気もしますが、文字には人知のおよばない力が宿っていると信じられていたのでしょうね。

さて、ここで魏延の命運が尽きるというフラグですが、趙直がそのとき真実を告げていれば魏延は自重したかもしれません。しかし趙直はあえてそうはしませんでした。それどころか「魏延、角の夢を見たってよ」と部下を通じて諸葛孔明陣営に伝えていました。

趙直は魏延の性格を知っていて、「逆恨みされると嫌だから、ホントのこと言わないでおこ。」と自己防衛に走ったのかも知れません。

しかし対立陣営に「魏延に野心あり」と伝えているあたり、すでに趙直は諸葛孔明に与していた可能性がありそうです。(諸葛孔明の方が魏延より立場が上ですからね😅)

占い師はいつの時代もカウンセラー的役割を担います。もしかしたら、

「オレ、近々ブチ挙げようと思うんだけど、こないだ角の夢見たんだよね。これってどうなの? ( ・д・)?」

そんな自分の本心を不用意に打ち明けてしまっていたのかもしれません。

守秘義務など存在しないこの時代、人の腹の内を覗くことができる占い師は、ある意味重宝されたことでしょうね。

悩みを打ち明けようとするとき、その人が本当に信用に値する人物なのか慎重に見極めないと、と思う今日この頃。

長文になりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました🥺✨

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