見出し画像

さらば青春の光、株式会社ザ・森東《第9期株主総会》の感想。

お笑い芸人「さらば青春の光」の個人事務所、株式会社ザ・森東。今年も株主総会(と称して、一年間の業績・活動報告を行う恒例イベント)のオンライン配信チケットを購入し、視聴しました。有料配信かつネタバレとなるため具体的な内容への言及は避けますが、とても面白かったです。

今回は、ザ・森東の株主総会の感想と、自身が感じるさらば青春の光のビジネス観点での "凄さ" などについて記事にまとめてみました。



さらば青春の光の凄さ。

テレビだけでなく、YouTubeやラジオ、単独公演や会員制オンラインコンテンツ「さらば青春のBAR」など、個人事務所として活動の幅を広げているさらば青春の光。第9期株主総会を視聴し、とにかく今期の業績(売上)と成長率が美しかった。少人数で、あの売上を出している株式会社ザ・森東は、同じ個人事務所経営者として尊敬するし、羨ましくも思う。お笑い芸人と経営者としての手腕・実力によるものだろう。

以前何かのラジオかインタビューかで、森田さんが「一番力を入れたいのは単独ライブ。単独ライブの動員数を増やすために、テレビに出て認知を広げている」と話していた。最も重きを置く、単独ライブ(コント)の軸はブラさないこと。
その手前でのYouTubeやラジオでは、個々のキャラクターや人柄をオープンにさらけ出し、日常を切り取る「裏さらば」や各個別チャンネルなども含めて、完成された作品(コント)だけでなく、そこに至るまでの細かなプロセス全体をコンテンツ化していることの戦略性。各々の人柄・キャラクターや関係性もオープンなため、見れば見るほど日常の活動や些細や言動す気になってしまい、巻き込まれていった結果、コアファンとして単独ライブに行くようになる。
全て意図して設計いるのだろうし、徹底ぶりとあくなき向上心、手数の多さが圧倒的。

森田の穿った視点の「企画力」と、東ブクロの世間に迎合しない「カリスマ性」。

二人のキャラクターも特徴的。
さらば青春の光のブレーンは森田さんで、YouTubeの企画やコントのネタ作りなど、日常の中の細かい部分を少し違った角度で切り取り、オリジナルの穿った目線を入れた企画を量産する。見た人はどこか癖となり、自然とのめり込んでしまう毒薬のようなもの。
東ブクロは、世間の評判や見られ方など全く気にも止めず、毅然と堂々とした昭和スターのようなカリスマ性を持つ。その一方で、森田やスタッフ陣からはイジられる愛されキャラでもある。

そこに作家の渡辺さん(ナベちゃん)やマネージャーのヤマネさんなど、スタッフ陣までもオープンに巻き込み、全体の人柄をさらけ出してコンテンツと化していくのが絶妙に面白い。また「昔から一緒にやってる、気心知れた仲間達」って感じの関係性も、見ている側からすると良かったりする。そういうチームの個々のキャラクターを知れば知るほど、今後の変遷も見ていきたいと思うようになる。

年々、コアなファン層のπを広げている。

上記のようなコンテンツ戦略により、年々コアなファン層を広げていっていると思う(単独ライブや株主総会の動員数などから推測)。ビジネスの難しいところとして「コア層を残しつつ、いかにマス層に広げていくか」があるが、さらばはお手本のようにコア層のπをマスに向けて濃度を落とさず広げていっているように思える。テレビやYouTubeなど気軽かつ無料で楽しめるコンテンツでリーチを広げて、その中でもグラデーションありつつと濃い関わりのまま広げていった結果、単独ライブやさらばBARなど「お金を払ってでも見たい(見ないともったいない)」と思わせるコンテンツたくさん用意されているため、仕掛けられたようについ見てしまっている。今後、コア層の中でのより優良コアを引き上げていくか、もしくはさらにマスに降りて広げていくか、このままの路線でπを広げていくかは気になるし、楽しみでもある。

自分のビジネスに活かすには。

自分の場合、全く異なる業界を見る時には、常に「自分のビジネスに活かすには」を考えているが、さらば青春の光から学べることとして、以下の点を挙げさせてもらう。

  1. 軸足(自社が一番注力する事業・サービス)はブラさず、クオリティも妥協しない。

  2. 完成されたものだけでなく、プロセスやストリー自体をさらけ出すコンテンツ。

  3. 気の知れた仲間(チーム)でコンテンツを作る。

  4. 企画やコンテンツの手数が多い(忙しい中で色々と試しまくってる)。

最近、エンターテイメント業界とビジネス業界の境界線が薄れてきているように感じる。しっかりと収益も出していて、知名度のある芸能人やインフルエンサーがビジネス業界(スタートアップ業界)に徐々に足を踏み入れつつ、上手くいく人が増えていると感じる。さらに今後、クリエイターエコシステムはさらに拡大し、スタートアップ業界にどんどん食い込んでくるだろう。
なので、スタートアップやビジネスの正統法だけを学び過ぎず、上手くエンタメなど他業界からエッセンスを取り入れていく必要があるだろう。そんなことを株式会社ザ・森東《第9期株主総会》から感じました。