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題名に偽りなし/ブックレビュー/よくわかるパーソナルデータの教科書

本の紹介:よくわかるパーソナルデータの教科書

著者(敬称略):森下壮一郎(編著)、高野雅典、多根悦子、鈴木元也
発売日:2022/7/23
出版社:オーム社
ページ数:248ページ


読んだ目的

データビジネスに携わるようになり、個人情報保護法の文脈を超えて、広くパーソナルデータやプライバシーに関する知見を習得すること、できれば体系的に学ぶことを目的としました。

レビュー

まさに、本分野における「教科書」となり得る書籍だと感じました。昨今、パーソナルデータはどこの業界にとっても無視できない重要なデータですが、かかるリテラシーを一定水準まで押し上げる書籍としては、類を見ないのではないでしょうか。著者はサイバーエージェントのメンバーで、実例として上げられているものも、非常に現場感のあるものになっています。

「情報とデータ」の違いを、情報科学的な定義と整理を行いつつ、それと個人情報保護法上の定義と整理が、どのような関係になるのかを説明する(28ページ)くだりは、個人情報保護法の条文、ガイドライン及びQ&Aと睨めっこしている法務担当者にとっては、非常に刺激的な構成であることは、間違いありません。

パーソナルデータビジネスにおいて、不可欠な統計的な処理、匿名加工等についても、法律だけを見ていてはリーチできない領域もしっかりとフォローされているあたり、令和2年個人情報保護法改正以降、多く世に出ている個人情報保護法関連書籍とは一線を画している、というか別物と言えると思います。
一方で、法律関係の記述が薄いわけではなく、技術、法、ビジネスを横断的に整理している点は本書の大きな特徴となっていると考えます。
また、これに加えて、この分野においてよく話題に上がる「信頼」という言葉についても、1章を割いて真正面から解説しており、示唆に富みます。

繰り返しになりますが、「教科書」とされている通り、今後、何度も本書を開いて、思考することがあるだろうなと思います。年明け早々良書に出会えて感謝です。






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