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猫バッグからの、逃走


小心者の王、獅子丸



前回投稿した壁から産まれた子猫の他に我が家にはもう1匹猫が居る。
この子は壁から舞い落ちてきたのではなく、保護猫だ。知り合いのガレージで生まれたが、親猫が育児放棄してしまったらしい。


完全なる野良猫で、最初は一切懐かず吠えまくっていたから「獅子丸」という名前をつけた。


そんな小さきライオンも時間が経ち、母や兄にとても懐いていた。(私はこの子がきて1ヶ月で家を出てしまい、忘れられている。)



そろそろワクチンの時期だから、と母が猫用バッグ入れた獅子丸を自転車の荷台に積み込み、自転車で2分ほどの動物病院は向かおうとした。
獅子丸は巨大化が止まらないため、重すぎて歩いて運ぶことなど出来ない。
自転車を発進させようと振り返ったその時。


荷台に積まれた猫用バッグの中で獅子丸が大暴れし、自力でファスナーを開けだした。
今まで同じように病院に行っていたがそんなことはしなかったし猫がファスナーを開けるなんて思っておらず、母も油断していたのである。


そうして獅子丸は見事脱出に成功した。
しかし、彼は野生を忘れ、完全に家猫になっていた。
久しぶりの下界に驚き、なんとたまたま玄関のドアが開いていた隣の家に入り込んだのである。


…隣は前回の投稿にも登場した、大家さんの家だ。





やばいと母が慌てて家へ向かうと、中から
ギャーーー!と大家さんの悲鳴が聞こえた。


『いま、猫が入っていったのが見えたけど大丈夫!?』


我が家はペット禁止の賃貸の為、母は自分の家の猫ということを伏せて、野良猫が侵入したのをたまたま見かけたという無理がありすぎる嘘をついた。
そして無事大家さんの家への侵入に成功にした。(母は大家さんと頻繁にコミュニケーションを取っているため、すんなり成功。)



大家さんはもちろん驚いていたが、家のどこに行ったかわからないと困った顔で言う。
大家さんも困るが、私たちの方がもっと困るのである。
母が自分の家の猫だと言い出せず、モゴモゴしていると大家がとんでもないことを言い出した。




『旦那が死んで寂しいから、このまま飼うわ😆』


!?



〜つづく〜

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