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90秒で読む!コンサルタント「読書日記」(第45回)

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「戦略の創造学ードラッカーで気づき、デザイン思考で創造し、ポーターで戦略を実行する」(山脇秀樹著 2020年4月)

本書の目的は、①デザイン思考、②ピーター・ドラッカーのマネジメント、③競争戦略論やブルー・オーシャン戦略という3つの思考から、新しい企業モデルを構築する方法論を解説することである。(タイトルにあるように、ドラッカーで「気づき」、デザイン思考で「創造」し、目的達成のための戦略を「実行する」である。)

筆者は、本書のなかで、ドラッカーやマイケル・ポーターの言葉を随所に効果的に引用しており、非常に魅力的である。

例えば、「未来について我々が唯一知っていることは、それは現在とが違うということだ」という言葉を引用して、筆者は、「すでに起こった変化」から「すでに起こった未来」を見つける作業が重要であると指摘している。そこから、「未来のシナリオ」を考察し、洞察を導き、「将来に向けたビジョン」を創造することが経営者が踏み出すべき初めの第一歩であるとする。

いくらよいアイデアを創出しても、ビジョンに基づく軸足がないと、目的を達成するための戦略の方向が分からない。戦略は、企業の目的、使命、そして将来へのビジョンの軸に基づいて構想されるべきである。

「すべての組織にとって必要なコア・コンピタンスはイノベーションである」という言葉を引用しながら、その際、大事なのは、「数値に基づくデータ分析だけでなく、人間の行動をよく観察する」ことが、イノベーターとして成功するためには必要であると指摘している。

ユーザーに新しい意味を提供した時に、イノベーションを追求することの意味が明確になってくる。顧客を満足させることは、あらゆるビジネスの目的であり、使命である。それゆえ、顧客と市場の目線から見ることによってのみ、「我々のビジネスは何か」という問いに答えることができる。

以上の観点から、筆者は、日米の企業を比較して、①米国の企業に必要なのは、多様化するユーザーの感情を理解し、共感を得るイノベーションを起こすという発想であり、②日本の企業に欠けているのは、総合的なマネジメントの視点と戦略の構築・実行であると指摘している。



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