文化祭を成功まで導くには?(前半)
こんにちは。ナッツです。
僕は高校の教師をしているのですが、先日、文化祭がありました。
今日は、「どのようにして文化祭を成功まで導くか」というテーマでお話したいと思います。もう赤裸々にトコトン裏側をお話しようと思います。
なお、これらは実際の記録となっており、長いので2日連続(1日空けるかも)で更新したいと思います。
これからお話しすることは、もちろん正解かどうかは分かりませんが、少なくとも、
生徒の満足度は高い
全員が参加する
観客の心を動かす
あたりは満たしているので少しは参考になると思います。
クラス会議の前に確認すること
生徒が主体的に動くことを最も大事にしていますが、教師は「学級運営」が仕事です。
そのため、まずは文化祭の企画の話をする前に、自分のクラスのリソースを確認。
資金はどれだけあるのか?
クラスのメンツはどのようなキャラが揃っているか?
学校のルールはなにか?
まずは自分たちの戦力を冷静に分析。
ここを怠ってしまうと、全力でできないんですよね。
マラソンを走る時、自分の体力がわかっていないと、途中で息切れして棄権をすることになったり、逆に余力を残してしまって「もっと全力を出せたのに。。。」となっちゃうのと同じです。
これらのことを頭に入れた上で、いざ、クラス会議。
文化祭ではクラス会議がメインイベント。
このクラス会議が一番大事だと思っています。
みんなで何か一つのことを決めるということは、誰かの意見を潰すことを意味します。
これがダイレクトに学ぶことができるのが文化祭です。
その上で、「意見が通らなかった生徒も含めた全員が前向きに参加する」を達成するためには、「納得」していないといけません。
だからこそ、徹底的に話し合うのです。
軽く3時間ほどかかりました。
徹底的に話し合う前に、まずは「たくさんの意見から1つの案を決める」ための作法を教える必要があるので、”文化祭を進めるにあたってのとりきめ”を確認します。
これが、自分のクラスで話した”とりきめ”です。
このルールを守った上で、アイデアを出し合う。安心して議論できるために土壌を整えてやります。それも補佐である教師の役目です。
議論がはじまり、アイデアがチラホラ出てくる中で、「そのアイデア、結構条件的に厳しそうだけどこの部分がいいよね!」「じゃあ、こうするといいんじゃないかな?」なんて意見が出て、どんどん練り合わさってくる。
とまあ、これですんなりいけばいいのですが、そこまでトントン拍子には行くはずありません。
もちろん、話自体進みはするのですが、生徒たちはこのような話し合いに慣れていないので、どうしてもスピードは遅いです。
それでも、我慢します。
僕のスタンスはあくまで生徒が決めて、それを責任持って生徒達が実行し切ることです。
そのためのヘルプを、教師である自分は全力でやると宣言します。
でも、大事なところは生徒が決め、実行する。どれだけ口をはさみたくても我慢するんです。
生徒が出した案を、ルール的問題、経済的問題として可能かどうかを判断するのがまず僕の役目です。
だから、必要以上に口は出さない。
文化祭で最も大事なのは、意見を出し合って「合意」する経験です。
これができればもうほとんど文化祭を行う意義は達成されるんじゃないか?と思うくらい重要です。
まさに子供達の成長する瞬間であるので、ここを引っこ抜いての作品のクオリティはあまり意味をなしません。
作品のクオリティは、教師がアイデアを出し、教師が生徒の気持ちを置き去りにしても達成できてしまう「結果」にすぎないからです。
ここでみんなで話し合うことを大事にはしているけど、結論を急いでしまう時にやりがちなのが「多数決」です。(詳しくはこちら。)みんなで話し合って決めるのであれば、安易にやってはいけません。
最後の落とし所を押さえておく。
多数決は最後の手段として。
話し合いをすると、どうしてもあっち行ったりこっち行ったりになるのですが、そこで議論を戻すために確認するのが、
「僕たちは文化祭で何を成し遂げたいのか?」という一番の目的です。
僕たちの場合は、「自分たちも、鑑賞者たちも楽しむ。」でした。どんなアイデアになったとしても、これだけはブレずにいこうというものです。
クラスには数十人いるので、ダンスをやりたい生徒もいれば、展示をやりたい生徒もいたりと様々です。当然意見は割れます。
でも、落としどころの「最終的にこのクラスが成し遂げたいこと」さえあれば、例えばダンスをしたいと言っていた生徒が展示でアート作品をやることになったとしても、”成し遂げたいこと”が一致していれば合意を得やすくなります。
そうして、対話によって決めることの土壌を固めながら、ゆっくりと見守ります。
そこでタイミングを見計らって次なる打ち手を出します。
ハードルを上げてやる。
はじめから「君たちが自由に考えて実行しなさい。」だと、生徒が自分のイメージできる範囲のアンパイな意見しか出てきません。
そういう時には少し背伸びさせる仕掛けとして、ハードルを上げに行きます。
そのために、世の中にある優れた展示物を見せました。これくらい観た人を「ハッと」させようぜというプレッシャー。
公立高校の文化祭ですので、もちろんそこまで潤沢な資金はありません。。
様々な制約があるので、お金をかけた派手なものではなく、どうしてもアイデア勝負になる。
様々な縛りの中で、全員が参加して、自分も相手も楽しめる文化祭を実施するには「工夫」が必要になってきます。
ここでいきなり「おい!工夫しろ!」なんて言っても出てくるはずがありません。簡単に工夫できたら工夫とは言えないからです。自分たちの頭で考えるしかありません。
「じゃあどうすればいいの?と」となってしまいますが、実は、工夫の仕方ならあります。
「???・・・!!!」の文脈を作る。
これは小国士朗さんという方がおっしゃっていたやり方です。
具体例を出します。
これを観た時、はじめ、「なんだ?」となって、読み進めていくと・・・「そうか!!!」となるような広告です。
これを見せながら、「これを満たすアイデアを考えよう。」とクラスの生徒に見せました。こうして、一気にクオリティのハードルを上げに行く。
そうして一旦会議はお開きに。
会議って解散したあとが一番活発に意見が出るので、すかさず放課後に企画に興味のある人だけ集めてもう一度小グループの会議を行います。
すると、時間も少しおいているのでポンポコ意見が出てきます。
それを少人数で話し合うことで、意見交換もスピーディーになっていきます。
頭も活性化されていくので、ここで結構アドバイスをしたりします。
アイデア自体は具体的に言うのですが、ここで鍵なのはあくまで生徒が「自分で思いついた」かのように持っていくことです。
もしも教師が言ったアイデアがそのまま採用されてしまうと、途端に考えることを止めてしまうからです。あくまで生徒が思いつくように誘導する。
このようにして少人数のグループで話し合ったことを後日大場で提案し、意見をもらい、また持ち帰って話し合うことを繰り返します。
そうすると、どんどんアイデアが洗練されていって、同時にクラスのみんなも「主で企画してくれているメンバーがここまで考えてくれているのだから任せよう」という空気感が生まれてくる。
その中で固まった企画案こそが、全員の合意を得て、なおかつ協力しあってすることができる文化祭の出し物です。
実際に話し合いの段階で展示作品は、
意見の中に「お祭りの出し物」「クイズ」「アドベントカレンダー的要素(ググって!)」とあったので、それをミックスした結果、
クイズに答えて、巨大ガチャを回して、そこからアドベントカレンダーみたいなウンタラカンタラ、、、、となりました。
これだけでは意味不明ですが、とりあえず大きな方向だけは決まったようです。
ここまでが前半パートです。
クラスで企画をして、方向性を決めるところまでに気をつけたり仕掛けたりすることを書きました。
後半は、実際に作業が始まったときにどんなことに気をつけるか、どのような発想で進めていくかなどを書きたいと思います。
(明日の後半編に続く)
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