紛争をなくすには?

紛争を避け、平和にするアイデアは結構基本的な所にあると思います。

社会心理学の分野で、「集団極性化とリスキーシフト」・「高すぎる集団凝集性と集団浅慮(集団思考)」というキーワードがあります。

集団極性化というのは、集団でいると一人一人で考えるよりも適切でない不合理な結論に辿り着いてしまうことを指します。
集団極性化の中に、リスキーシフトというものがあります。

リスキーシフトとは、一人一人で考えるよりも集団で考えていると、どんどん過激な意見ばかり出てしまい(過激な意見ばかりしか通らなくなり)、適切でない不合理な結論に達してしまうことです。

過去の紛争や戦争や有事もリスキーシフトが働いていたことが多いという研究もあります。
また、学校のいじめ・ネットいじめ・会社における大人のいじめもこれが働いていると言われています。

リスキーシフトを防ぐためには、今説明したような「集団極性化とリスキーシフト」を多くの人が理解することで、「この今の状況はリスキーシフトじゃないか?」と気づく人が多ければ、これから先の紛争や有事も防げることが多いと思います。

次に高すぎる集団凝集性というのは、集団の仲が良すぎることです。
意外かと思われますが、会社内の同僚などでも仲が良すぎると問題が生じやすくなります。
それは集団浅慮(集団思考)というものが引き起こされるからです。

集団浅慮とは、集団内の意見を一致させようとする斉一性が強く働き、他の選択肢を不適切に否決することで、個人個人で考えるより適切でない結論に至ることを指します。
集団内の意見を一致させるために反対派に圧力をかけ、集団内を高く評価し、集団外を蔑視する傾向があり、外部からの情報を遮断する閉鎖的な傾向があります。

こちらの「高すぎる集団凝集性と集団浅慮(集団思考)」もまた、紛争などを引き起こすと考えられます。

「高すぎる集団凝集性と集団浅慮(集団思考)」を防ぐためには、多様性のある人材を集団内に配置することも有効と言われています。
また、帰属している集団の規模をより大きく持つことが有効だと言われています。(これを再カテゴリー化と言い、対立カテゴリーの上位に包有するカテゴリーを作るという方法です。)

帰属する集団の規模をより大きくするアイデアですが、私なら、例えば、祖国に愛国心を持つ意識を、(祖国も含む)地球に対しての愛星心(?)を持つ意識にするといいかなと思います。
多くの人が地球という星に帰属意識を持つことで、紛争や戦争がなくなっていくのではないかと思われます。

何かの参考になれば幸いです。

<<参考文献>>
下山晴彦編集代表, 誠信 心理学辞典[新版], 誠信書房, 2014, 261p, 269p, 624-625p.


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