朝の何気ない風景を切り取って
冴え渡る朝の気配に
少し身震いをしながら、後ろを振り返った。
朝靄が綺麗に山裾を覆い、
山の辺りの景色は見えなくなっている。
こんな朝は、少し早めに職場に行って
近くの喫茶店で珈琲でも飲もう。
正確にいうと、ブラックは飲めないから
少しミルクを入れてカフェラテにしてもらおう。
ようやく動き出した街の景色を横目に
歩き出す。
いつもの通り道、裏道を抜けるとそこは
細い路地になっている。
この路地に入り込むと、
何か違った物語が始まるんじゃないかなと
ワクワクしたりもする。
今日は出勤前なので、寄り道をすることは
社会人としては許されないけれど
また少し時間が出来たときに、路地に入ってみたいと思う。
家の脇を通るとき、
家から聞こえるざわめきを聴きながら
その家は一体どんな物語があるのだろうと
ワクワクしてしまう。
もしかしたら、家には中学生の子がいて
青春を謳歌しているかもしれない。
野球やサッカーなどのスポーツに、
夢中になってるかもしれないし
或いは恋をしているのかもしれない。
もしかしたらお母さんは、
子供たちを送り出した後パートに行ってるかもしれない。そのパート先で素敵なご老人の方と知り合って話しをするのかもしれない。
お父さんはもしかしたら、家では無口だけど
外に出たらキビキビと働いているのかもしれない。
或いは割りに合わないことで、とばっちりを受けて上司に怒られているかもしれない。
そんなとき家族の顔を必死に思い浮かべて、耐えてるのかもしれない。
そんなことを思うと、
居てもたってもいられない。
あぁ、会社に行ってる場合じゃない
物語の続きを追わなければ…と一瞬思うけれど、それはもう少し先の話し。
私は地下鉄の改札口をくぐり、するりと
電車に飛び乗った。
この度はお立ち寄り下さり、ありがとうございます。ニュイの考えに共感いただけたら、サポートして下さると喜びます!!サポートいただいた分は、今後の執筆活動のための勉強資金として大切に使わせていただきます。