ここはフランス、パリ。 おしゃれなパリジェンヌが行き交う町の、とあるケーキ屋さんでパティシエールとして働く日本人女性がいた。その名はルー。 彼女は自分の仕事に誇りを持っていたが、その笑顔はどことなく悲しげだった。 風も冷たくなってきた秋のパリ。仕事帰りのルーはコートの襟を立て、涙を流しながら歩いていた。 彼女の頬には40代という年齢とは似つかわしくないシミがたくさんあり、髪の毛はベリーショートすぎるベリショだ。そして、左胸の膨らみも無い。 そう、ルーは乳がん患者だっ