山崎ハイボール、初恋

ゆうちゃんへ

そばおいしかったね。もちもちで私は地味に感動してたよ。

少し気分が落ち込んでいるので甘い淡い恋心について書いてみてセラピー効果を期待してみようと思います。多分話したことあると思うけどね。

私は自分からアピールして男性に近づくタイプではないのだけれど、すごい好きな人ができて、逃したくなくって、自分から連絡取ってちょっと会っていた人がいました。

大学のサークルの先輩で、留年してる人だったので結構年上やけど顔がめっちゃいい。しかも海外に住んでたこともあり洋楽とか洋画のことも知ってる、クールな感じの先輩に私は恋しました。恋しました、だなんてかわいい文言だこと。

飲み会とかでちょっとずつ距離を縮めて連絡先も交換して、彼の噂とかを嗅いでみたりした。彼女がいることはわかったけどうまくいってないらしい。彼女とクリスマスに一応デートはしたけどやらなかったという噂をなぜかゲットして(どこから!)これはいけるんじゃねえ?と思って連絡してみた。

「どこか遊びに行きませんか?」

言われてぇよ。私も大学一回生の女の子に遊びに行こう、って言われたいよ。かわいいよ自分!グッジョブだよ!

先輩はそれにノッてくれた。いいよ~っつって、遊びました。何をしたのか忘れたけど、最終的に飲みに行った。そこでおすすめしてもらったのが山崎ハイボールだった。

まだ山崎が世に溢れていた頃だ…。最近は海外からの需要が高くて手に入りにくくなってしまった。そんなおっさんみたいなウィスキー事情はおいておくとして、
何?山崎?これがウィスキーというものなのか。それで彼は山崎ハイボールが好きなのね。よし、飲んでみようじゃないかと思ってトライした。

ナイス、先輩。おいしい。甘くないけどシュワシュワするし。なにより匂いがいい感じ。やっぱいいよ、趣味がいいよ先輩。そんな先輩が好きな私も趣味がいいよ!全体的にうれしいたのしいイイ感じ!

「あんま楽しそうな感じしないね、(笑)」
…!?は、いや、この上ない喜びなうです、先輩。と言えるはずもなく、不愛想で無表情な私は、ん?そ、そんなことないっすよ。ぐらいの塩対応しかできなかった。でもなんだかんだで(なぜか)話はそれなりに弾んだし、お互い楽しんで次の約束をした。まさかの、早速次の日に会う約束!

この辺の記憶はちょっとふわふわしてるから本当にその次の日だったのか何回か会った後の次の日だったのか、ちゃんと覚えてないけど、二日連続で会えることになった。遠足ってことでかなり歩いた。ちょっと照れたけど京都を見下ろす形で撮ったあの写真はもう恥ずかしくて消しちゃったのか、どこかにあるんだか。

あの頃の私はシャイで奥手で人見知りで男の人と二人きりで写真を撮るなんてそんなこと、もうどうしたらいいのかわからなかった。限りなく恥ずかしかったし変な笑顔になっちゃってるんだろうなと思いながら、それでも写真は残っちゃうからがんばって笑顔だよ!って思ってたことをなんとなく覚えている。

その後、先輩から「今日はビールとコンビニ弁当だ」とかいうメールが来て、ん?なんでこの人は私に夜ご飯の報告をしてくるんだろう、ってその頃の私にとっては謎の距離の詰め方に戸惑って無視した。ら、先輩は消えた。

そう、消えてしまったのだ。先輩どこ行ったの?海外に行った?なんだかよくわからないまま、特にデートしていたことを公言していたわけではなかったので、先輩とかが話しているのを聞いてみたり。結局どこにいったか分からなかったけど海外に行ったらしいという事だけはわかった。

一年ほどした後、彼は戻ってきた。
私はうれしくて、また遊びましょうと誘って遊んだりしたけれども、昨年ほどはときめきを感じなかった。うーん、なんで消えちゃったのかを聞いてもよくわからないし、この人は結局大学卒業したのかまだ留年中なのか?なぜかそういう普通のことをちゃんと聞けずにもやもやしたまま、さあっと醒めてしまった。

私が連絡しないとあっちからも連絡はなかった。そしてまたその数年後、サークルのイベントで会った時、何度かデートしたね、って話を振られたけど、それでもまだやっぱり奥手でシャイな俺は、「ム。ソーデスネ。」となんの愛想もない返事でその会話をシャットダウン。

「そうでしたね、楽しかったですよね。また遊んでみますか。」と、ちょっとぐらいチャラついとけばよかったところを、私は照れやらなんやらであの数回のデートをなかったことのように扱ってしまった。

それで私の謎の初恋は終わった。手ぐらいはつないだかもしれないけど別にちゅーもハグも何もせずに終わった。あれをきっと若さと呼ぶのだろう。

今はその人の連絡先も何もしらない。私は基本的に何かちょっとお近づきした方(性別問わず)と別れた後はその人と私をつなぐ全てを完全に断ち切ってしまうタイプだったので、もう何も知らないしつながる術もない。

彼女がいたにも関わらず勝手に好きになって勝手に醒めて、相手とその彼女(らしき人物?)にはなんだか悪いことをしたようにも感じるけど、実質私たちが会ったのは三回ぐらいで、別に誰が傷つくことも傷つけることもなかったと思う。だからこそなんとなく甘い淡い思い出として綺麗に残っている。


大切なことは彼と出会わなかったら大学生の私が山崎ウィスキーに出会うことはなかったという事。私がこの世で一番好きな飲み物、ウィスキー。それも山崎とかのスコッチ系は本当に味わい深くて、大好きな香りで、強めのアルコールが酒に強い私をしっかりいい気分にしてくれる。

私がスコッチを好きなことはたくさんの人が知っている。でもその裏にこんな話があったことはあまり話さない。結局男が教えてくれた味だったという事を知られるのがちょっと恥ずかしかった。でも、私も曲がりなりに恋愛を少し経験して、そういった出会いが生むさらなる出会いとその特別感を大事にしたいと思って、今回こうして書いてみてよかった。確かにほんのり若いころの自分から癒しをもらってる。

さあ今夜も戻ることにしよう、いつも通りのオタ活へ。そしたら明日はマンデー。だからどうってわけではない。ハハハ葉

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