18.電車での発作～2011.1月～

この日は体調も気分もよく、自転車で最寄り駅まで行った。

電車に乗り遅れそうだったので、ものすごく急いで自転車をこいだ。

薬をもらってから、電車に乗るときは早めに行くようにして自販機で水を買っていた。

ただこの日はもう本当にぎりぎりで、乗車には
間に合ったけど水を買う時間がなかったんだ。

急いできたから心臓はばくばくいってる。

でもそのうちおさまるし大丈夫だろう、と思い
電車に乗った。

だけど違った。

朝はあんなに元気で不安もなかったのに。

電車に乗った瞬間、一気に不安になった。



　水がない…。
　いざとなったとき薬が飲めない…。

そのとき頭にちらっと
“パニック障害の人は電車で発作を起こしやすい”
という情報が浮かんだ。

だけど、

　私は違う。大丈夫。大丈夫。

と言い聞かせてた。

急いでいたせいで心臓はばくばくいってる。

いつもならすぐにおさまるのにこの時は全然おさまらなくて、それが余計に私を不安にさせた。

こわかった。
やばい感じがした。

学校まで５駅。25分くらい。

いつもなら少し不安なだけで平気なのに、今日は違う。

薬が飲めないという状況なだけでもうものすごく
不安になった。

１駅は乗れたが、２駅目に着くまでに不安はどんどん増していった。

　いざとなったら降りればいい。
　大丈夫大丈夫。

と言い聞かしていたけど、

　降りた所で逃げ場ないよ。
　家までどうに帰るの？
　迎え呼んでもそれまで耐えられるかな…。

ということが頭をぐるぐる。

息がしにくくて。冷や汗もでてくる。
じっとしていられない。

まともに考えられなくなっていた。

どうしようどうしようと焦りが更に不安に繋がる。

そのとき、２駅目に停車しドアが開いた。

降りるか迷っていた。

だけど予想以上にその駅で人が乗ってきたので余計に焦った。

　

どうしよう、降りようかな…
　でもここで降りてもな…。

　だけどドア閉まっちゃう！
　そしたら本当に逃げられない。
　…無理、耐えられない！

そうに感じ、急いで電車を降りた。

けれども降りてからが余計につらかった。

足がふらついてまともに歩けない。

何より頭が変な感じがしてどうしたらいいのか
まともに考えられなかった。

意識が朦朧としている感じ。

心臓は破裂しそうなくらい強くばくばくいってる。

胸が苦しくて息ができない。

本当に倒れるかと思った。

周りがみえない感じがして、必死に歩くだけで精一杯。

訳もわからずかばんをあけたり財布を触ったり…。

自分が今何をしてるのか、何をしなきゃなのかすらわからなくなっていた。

　とにかく薬を飲まなきゃ！！！

という思いしか頭になかった。

改札をでるのも精一杯。焦りながら自販機を探した。

もう本当に頭がおかしくなった気がした。

苦しくて手も震えてお金を出すのも手間取って、やっとの思いで水を買い、駅の椅子に座った。

鞄から薬を取り出したいけど手が震えて上手くだせない。

　こわいこわいこわい…！

必死だった。

よくやく薬が飲めて、薬を飲んだからすぐおさまるって言い聞かせる。

このときは本当に息ができなくて苦しくて倒れるかと思った。

いっそ倒れた方が楽なのではとすら思った。

でも倒れるのもこわい。

１人でいるのがこわくてこうになったことも悲しくて泣き叫びたかった。

そんな中、家に帰りたいと思いお父さんに電話した。

仕事中だったけど迎えにきてくれることに。

帰れるということと、薬を飲んだ安心感で症状は徐々におさまっていった。

この日のことがあってから電車に乗りたくなくなった。

そして水はあらかじめ家から持っておくことにした。

私の場合、冷たい水じゃないと余計に気持ち悪くなるので、冬でも氷を1、2個いれて持ち歩くことにした。

そして仕事から帰ってきた母に話したら、心療内科にいこうといわれた。

心療内科を予約したけど、予約でいっぱいで行けるのは数日後だった。

それまでの間には成人式がある…。

私としては今すぐにでも行きたかったので、心療内科に行く前に｢成人式｣があることが不安でいっぱいだった。