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EP12 人がいちばん辛いこと

このnoteは2021年4月28日に収録した音声を文字起こししたものです。

こんにちは! ニューヨークライフバランス研究所の松村亜里です。
幸せに生きることを科学的に研究するポジティブ心理学やウェルビーイングをわかりやすく伝えています。

今日は、「人が一番辛いこと」というテーマでお送りします。

上司がどこを見るかで部下の行動が変わる

昨日、「強みの育て方」の対談イベントを開催して、100名近くの方が申し込んでくださいました。そこで強みのミニ講義をしたのですが、その時に、あるグラフを見せたところ、「すごく意外ですね」というコメントがありました。私は「あぁ、なるほど」と思ったので、そこを分かりやすく説明できたらと思います。

そのグラフは何かというと、ギャラップ社が2009年に調査した「上司が部下の強みを見るか弱みを見るかによって、部下がどのくらい楽しく仕事をするかが変わってくる」というグラフです。私は2009年のデータをグラフにしたのですが、毎年調査されているものです。実は毎年、結果はあまり変わらず安定しています。

まず、仕事をどのくらい楽しんでいるかというのを計る指標は、エンゲージメントやワークエンゲージメントと言います。この調査では3つのタイプに分けられました。1つは「アクティビティエンゲージ(積極的にエンゲージしている)」。エンゲージという言葉は少し分かりにくいですが、一生懸命仕事をしているとか、楽しんでしている、没頭している、ワクワクしているという感じです。働く喜びを感じられているというととても分かりやすいと思います。この人たちはどんどん会社を引っ張ってくれます。新しいアイデアやイノベーションを起こして、会社のためにも社会のためにも、役に立ってくださる人たちだと思います。いろいろな人たちのためになり、本人にもとてもいい影響を及ぼします。

2つ目のグループが「パッシブエンゲージ(受け身)」のグループです。いわゆる、「9時‐5時」組です。体はそこにいるのですが、心はどこかにあって、「あ~、あと1時間だ」という感じで働いている感じです。やることはやっているけれど、それ以上のことはやらないという、受け身で仕事をしている人たちです。「受け身の人たち」は生産性や社会、会社のためにすごくなっているかと言ったら、そんなことはないのですが、害にはなっていません。

そして最後のグループが「アクティブリ-・ディスエンゲージド」というカテゴリーです。直訳すると「積極的にエンゲージしていない」という意味になります。この人たちは、例えば悪いことをしてしまう、会社の物品を盗む、インターネットサーフィンなど違うことをする、または、仲間のところへ行ってどんなにこの会社が悪いかという文句を言うなどをして、会社の士気を下げてしまいます。

この3つのグループがありますが、上司が部下の弱みを見ているか強みを見ているかで、部下の行動におけるパーセンテージが変わっています。例えば、積極的にディスエンゲージ(職場で問題行動を起こす)人たちのパーセンテージはこのように変化があります。

「上司は自分の強みも弱みも見てくれていない。無視されている」と思っている部下の中に40%もいます。そして、部下が「私の上司は自分の弱みを主に見ている」と思っている場合は22%に減ります。そして、次は劇的な変化になるのですが、「私の上司は自分の強みを主に見てくれている」と思っている場合は1%しかいません。私はよく「強みは万能薬」と言っていますが、幸せにもなるし、鬱も治ります。体の健康にもいいですし、人とのつながりもよくなります。成績や仕事のパフォーマンスが高まります。なので、問題行動のある人を見た時には、強みを見てみようと切り替えてみるのもいいと思います。

人間にとって一番辛いこととは

エンゲージしている(働く喜びを感じている)人たちの割合を見てみると、「上司は自分のいいところも悪いところも見てくれていない。無視されている」と思っている人の中には、2%しかいません。「弱みを主に見ている」と思っている部下の中には45%、「強みを主に見てくれている」と思っている人たちの中には61%の人が働く喜びを感じて楽しく働いています。

ここが「えぇ!」という感じで驚かれるとことです。「強み」はわかりますが、「弱み」を見ている方が一番悪いのではないかと思うわけです。確かにそうだなと思うかもしれませんが、そういうわけではありません。無視されている人と弱みを見られている人だと、無視されている人の方が、悪いことをする人は2倍くらい多いです。喜んで仕事をしている人たちというのは2%と45%の違いなので、20倍くらいの違いがでています。そのくらい人にとって、無視されるのが一番辛いということです。

いじめられている子たちも、まだ叩かれたり、何かを隠されたりされた方が全く無視されるよりもいいと言うそうです。私たち人間というのは、存在を認めてもらうというのが本当に大事なのです。そのくらい、人が一番辛いのは、「無視される、なかったことにされる、いなかったことにされる」ということです。

こういうことを言っていますが、私の子育ては、忙しくて、子どもたちがいい子にしていると結構無視していることがあったなと思ったりしています。すごく忙しい時に話しかけてくると、「ちょっと待ってね」と言ってそのままになってしまうこともありました。うちの子はもう14歳と12歳で、今「あー、もっと話を聞いてあげたらよかったなぁ」「もっと、あれしたい、これしたいという時に聞いてあげればよかったなぁ」とすごく後悔しています。

まだお子さんが小さい方は、いくらやっても後悔することもあるかもしれませんが、お子さんが話しかけてきたら、聞いてあげてください。職場で誰かが話しかけてきたら、生徒さんが話しかけてきたら、いつもではなくてもいいですが、できるときは手を止めて、目線を合わせて相手を見てしっかり相手に注目しましょう。そして、相手が何か気持ちを表した時には、「そんなことないよ」と相手の幸せを願うからこそ、ついつい否定してしまうのですが、まず、それを認めてあげることを、意識してみてください。

私の子どもたちは大きくなってきました。これからのことを考えて、夏に引っ越すかもしれません。家族がもしかしたら離れ離れになるかもしれないということを考える毎日で、実は結構辛い日々を送っています。音声の配信も「気持ちが暗い時は、暗いことを発信してしまいそうだな」と思いながらやっています。始めてから4日間空いてしまいました。でもこういうときこそ、しっかり発信していこうと思います。また少しずつ乗り越えていき、この経験もシェアできたらと思っています。ポジティブ心理学というのは、幸せを科学的に研究するものなのですが、ネガティブな感情も大事にしているので、両方お話していきたいと思います。


オンラインサロン「Ari’s Academia」では最新のウェルビーイングの講座や同じ志を持つ仲間との繋がりの中で、幸せを増やす行動を習慣化することができます。興味がある方は覗いてみてください。それではよい1日をお過ごしください。

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