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EP11 多様性という名のやさしさ

このnoteは2021年4月27日に収録した音声を文字起こししたものです。

こんにちは! ニューヨークライフバランス研究所の松村亜里です。幸せを科学的に研究するポジティブ心理学やウェルビーイングの研究を分かりやすく伝えています。

音声配信を始めたのですが、数日開いて空いてしまいました。日本では三度目の緊急事態宣言が発令された都道府県もあるので、この2週間は毎日配信できればいいと思っています。メルマガで質問ができるリンクをお送りしたので、そちらから質問をいただければ、(ランダムに選んでになってしまいますが)回答させていただきます。

今日は、多様性についてお話したいと思います。

偏見やステレオタイプのない付き合い

私の子どもたちを見ていると、すごく多様性を尊重しているなと思います。この14年間感心させられ続けています。大人よりも脳が柔らかくて、偏見やステレオタイプではなく、一人一人を尊重しています。

それを感じるエピソードが最近ありました。子どもたちの学校は、コロナの影響でしばらく閉まっていて、再開されてからは一日置きで通うようになりました。そして、先々週からはリアルの授業になりました。毎日子どもたちが学校へ行くことに対して、本当に幸せを感じています。子どもたちも、やっぱり学校へ行くと学びも楽しいみたいです。

その中で、最近知ったのですが、息子の友だちで「汚言症」を持っている子がいます。「トゥーレット症候群」といいます。言葉を自分で意図していないのに発してしまうというものです。それも、卑猥な言葉、罵倒する言葉を発してしまうのです。英語ですとFワード(欧米で非常に下品な言葉とされる「f」で始まる語)や、バカとか、アホとか、そういう言葉が何の脈絡もなく口に出てしまう脳の障害です。


うちはご飯の時に毎晩、「よかったこと」を3つと「嫌だったこと、困ったこと」を1つ言うという習慣があるのですが、その「嫌だったこと」に、息子がその「汚言症」を持っている子-ニックネームがホタテ君というのですが-の話をしました。「今日はホタテが学校に来なかった」と。夫は知っていたようで、「あ、それは汚言症のせい?」って聞きました。息子は「うん」と答えました。「え? 何? 何?」と私が聞くと、ホタテ君の話をしてくれました。すっかり忘れていたのだけど、そういえば臨床心理学を学んでいた頃そういう病気があったなと思い出しました。

でも、本当に何の脈絡もなく急に「バカ!」や「fワード」を言ってしまうって、すごく辛いことだと思いました。親もすごく心配だと思います。「どういう感じなの?」と息子に聞くと、本当に急に言い出すようです。「周りはどうなの?」と聞いてみると、「え? 別に。誰も気にしてない」。いじめられているわけでもないそうです。

10人くらいの友だちみんなでずっとゲームとかもしていましたし、学校のランチも飯も一緒に食べていて、お昼休みも一緒にサッカーボールを蹴ったりしていて仲がいいのです。もう彼はそういう子だからと、誰も全く気にしないのだそうです。それで、学校に来なかった日は「さみしいな」となるのだそうです。

彼は、来る日と来ない日があって、朝起きたら今日は症状がひどくなるとか、調節できそうだなとか分かるみたいです。ひどくなりそうなときは学校を休んで、来られそうな時は来る。なので、学校へ来なかった日は友達はさみしいなるのです。

彼はゲームをしていても急に悪い言葉を言いうそうで、例えば、彼が「Stupid!(バカ!)とか言って、それがたまたま、彼が間違えたりとかタイミング的に合ったりすると、他の友達が、「お前だよ」、「それはお前だよ」と言い返したりして、「キャハハ」みたいな感じにみんなで笑ったりしているという話もしてくれました。

そんな話を聞いていて、すごく素敵だなと思いました。自分に置き換えたら、まず、その子のこと少し怖くて引いてしまったり、「そんなひどいことを言うなんて病気だよ」と感じてしまったりするのではないかと思います。ですので、子どもの「多様性を受け入れるやさしさ」というのにすごく感動しました。

もうずっと普通にみんなが彼を理解しています。彼が汚言を吐いたとき、たまにタイミングが合うとおもしろさに笑い、そして時には、サラッとみんなで流して、何もなかったように普通に生活をしたり、遊んだりしているそうです。

大人には新しい多様性も

他にもこんなことがありました。娘が乗馬に行っていたときに知り合ったお友だちが、「ノンバイナリー」でした。「ノンバイナリー」とは、自分自身を男とも女とも感じないという人のことです。その人たちは、「彼女(She)」とか「彼(He)」ということに違和感があるのだそうです。「男の人」「女の人」と決めつけているからです。だからその子のことを「They」とい言わなくてはいけないらしいのです。「彼女(She)」はだめです。

たとえば「その子の親」という時は「Their parents」、「その子が来ていた」という時は「They came」「Is they come?」というらしいのです。でも私の中で「They」は複数形なので、本当に難しくて、つい「She」と言ってしまうのです。「Her parents」とか。そうすると娘は直してくるわけです。私は「別にその子が聞いていないのだから、その子の前で話しているわけではないのだから「She」と呼んでもいいんじゃない?」って言うと、娘が「それはよくないよ」って言いました。「その子は『He』とか『She』って呼ばれたくないんだよ」と尊重していたんですね。少し面倒くさいと思ってしまった自分(私)がいたわけです。

多様性と向き合う

うちの子どもたちにはそういうところが昔からありました。娘は発達障害の子でみんなにいじめられている女の子を守ったり、からかっている男の子たちを蹴散らしたりしていました。息子はアメリカの小学校の夏休みに、日本に帰って学校へ通っていたのですが、そこでいじめられて馬乗りにされている子を助けたこともありました。

そんな子どもたちは幼少期に秋田で育ちました。5歳と4歳の時に、私が子育てを1人でできなかったという理由で、夫がいるニューヨークへ嫌々ついて行くことになりました。ニューヨークは多様な街です。今いる場所は白人の方がほとんどなのですが、前にいた場所(6年くらい過ごした)は多様性がありました。そこで過ごしたことが関係しているかは分かりませんが、多様な人たちを受け入れることができる子どもたちだと思います。今、家では「Asian hate(アジアンヘイト)」や「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)」などの話も結構していて、12歳と14歳という若さで素晴らしいなと思います。若い子たちから学ぶことが多く、しっかり聞いていこうかなと思っています。


オンラインサロン「Ari’s Academia」では私が最新のウェルビーイングの講義をしています。また、自分が幸せになることで回りに広めていくとか、幸せな社会を創っていくというような同じ志を持つ仲間とのつながりの中で、幸せな行動習慣を習慣化することができるようなシステムが作られています。興味がある方はぜひ覗いてみてください。それでは失礼します。

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