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なぜ日本人はお酒が弱いのか?

人類はアフリカで誕生し、大陸を移動しながらアジアにやってきたという説は、とても有名な話だが、もともとは同じ祖先を持つはずなのに、欧米人のほぼ全ての人がお酒に強い体質を持っていながら、なぜ一部のアジア人(特に日本)だけ、お酒に弱くなってしまったのか?

さまざまな仮説があるそうだが、有力な説の一つにとても興味深い説がある。

酒を飲むとアルコールは体の中で分解されて(アセトアルデヒド)と言う物質に変わる。飲むと顔が赤くなるのはこのアセトアルデヒドの仕業だ。
それどころか、体中の細胞気をつけて、がんなどの病気のリスクを上昇させる危険な物質でもあるとされている。
酒のリスクと最近言われる原因は、このアセトアルデヒドのせいだ。

世界に目を向けると、現代のアジア、特に東アジア一帯にアセトアルデヒド分解遺伝子の働き弱い人が多く存在している。誰が発見したか、このお酒に弱い人の分布がアジアの(稲作)の広まり方とよく似ているというのだ。そしてそこには、アジア人はお酒に弱くなることで生き延びたのではないかという説がある。


中国から広まった稲作は、アジア人の生活を支えたが、同時に水辺に多くの人が集まって暮らすことになる。
水路の技術は当然現代よりも低く、当時は衛生環境が悪かった為、食物に病気を引き起こす悪い微生物や寄生虫などが付着するかったことが多かったと考えられている。体内で微生物が増えれば命もかかわる。

日本でも、ワクチンなどが出来るまでは、その土地独自の奇病があったそうだ。お酒が分解される過程で生まれるアセトアルデヒドは人間にも毒になるが、実は微生物にとっても毒なのだ。

つまり、アセトアルデヒド分解酵素の働きが弱い祖先が、酒を飲む事で体内には分解できない猛毒のアセトアルデヒドが増えていく。
しかし、それが人体に良くない微生物を攻撃する薬になり、結果的にお酒に弱い遺伝子を持つ人達が生き残っていったのではないかと考えられている。

日本国内でも、お酒が強い人が多いとされている地域は稲作が盛んではないことから、この説は有力視されている。

遺伝子的に弱くなる事で、逆に生き残っていったという不思議な現象だが、毒を持って毒を制す的な少しダークファンタジーで、誰かに話したくなる説だ。

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