【スポーツ栄養学講習会】驚かれるスライド3選
トレーナー活動といえばどうしても練習や試合に帯同していたり、トレーニング指導をしていたり、といったイメージをもたれがちですが、活動内容はさまざま。アスレティックトレーナーとしての役割の一つにスポーツ現場のコーディネーター的な役割というのもあったりして、選手やチームのニーズに応じていろんなことをしています。特に体づくりがメインとなる時期には選手や保護者向けに「スポーツ栄養学に関する講習会をしてほしい」という依頼もよくあります。
ということで毎年のようにいろんなところでスポーツ栄養学の講習会をさせていただくのですが、あくまでもアスレティックトレーナーとして伝えられるスポーツ栄養学の話。管理栄養士さんのような専門的な話はできないですよ~というところから、ご依頼を受けるようにしています。
それを踏まえて、体づくりに欠かせない「栄養」について、基本的な栄養素の話から実践的な食事の話まで、選手や保護者の皆さんに知ってもらいたいことをスライドにまとめるのですが、中でもリアクションの大きい3枚を選んでみました~。
鉄分といえばひじきじゃないの?
鉄分といえばひじきと思っていた常識が覆されたのは日本食品標準成分表が改訂された2015年12月のこと。ひじきの鉄分は鉄鍋でつくっていたからという衝撃の事実が判明しました。ウラを返せば、鉄製の調理器具で料理をすると微量の鉄分が含まれることもわかっていて、今だとキャンプなどで使われるスキレットなどでも鉄分摂取に役立ちそうですよね~、という話をします。特に鉄欠乏性貧血の対策として手軽にできるものです。
この公表以前にカンボジアで貧血発症者数の減少に貢献したというLucky Iron Fishのニュースを目にしました。鉄の塊を鍋に入れた状態で調理するという行動変容を促すことで、貧血改善に一役買うことができたというもの。カンボジアの人々にとって希望と幸運のシンボルである魚をデザインしたところも素晴らしいですよね。最初に知ったときは驚きと興奮で言葉を失うとはこのことか!と思ったほど。改めて調べてみると、今はamazonでも購入できるようです。
検索すると魚をモチーフにしたオリジナルのものだけではなく、鉄でできたドラえもんとか、キティちゃんなどもあるみたいです(しかも南部鉄製)。そうきたか~。
アスリートの朝食に最高じゃないの?
朝食の大切さを理解してもらいたくて、いつもその日の朝食を紙に書いてもらい、何人かの選手には発表してもらってます。朝から焼肉を食べる選手もいれば、「パンとジュースですぅ~」という講師側からするとツッコミにうってつけの回答をしてくれる選手もいます。「朝食を食べない」は論外、食べたとしてもその内容であったり、食事量も意識しましょうという話ですね。
そこでワタシのイチオシ朝食「納豆チーズパン」の登場となるわけですが、これをゲキ推ししていると、お母さん方を中心にかなりザワつきます。内容はいたってシンプルですが、食パンにタレを混ぜた納豆を一パック分のせ、その上からとろけるチーズをのせ、トーストするだけ。納豆は火を通すと栄養価が若干下がってしまうのですが、そこは目をつぶってください。
納豆とチーズでタンパク質源を、食パンでエネルギー源となる糖質をとることができますし、これにヨーグルトとか果物なども一緒にとるとさらに栄養バランスが良くなります。この話を以前メルマガで書いたら、友人から「食パンにマヨネーズを塗るとさらに美味」という助言をいただいたので、最近ではこれを採用させてもらってます。
お母さん方は「ええー」と驚かれることが多いのですが、選手の中には必ずチャレンジャーがいて、次回会うときまでに実践してくれていることが多いです。「やってみました!おいしかったです」と言われると、また一人納豆チーズパンの賛同者が増えたようで嬉しいです。
カレーは胃薬じゃないの?
カレーのもつ独特な香りや味覚は、さまざまなスパイスによってもたらされるものですが、スパイスの中には胃薬に含まれる生薬と同じものもあり、もはやカレーは飲みもの…ではなく胃薬の成分も含まれますよという話をするとビックリされます。さらにカレーをつくる段階で胃薬を投入するとスパイシーな味に変化するらしいと言う話を紹介すると場内が騒然となります。
実際に試してみたというドキュメント記事(胃薬はカレーよりチャイに入れるとうまい)がありました。こちらの冒頭でも紹介されていますが、マンガ「美味しんぼ」24巻ではカレー勝負という内容で1巻まるまるカレーの話が描かれており、「インド料理のスパイスは漢方薬」「スパイスが足りないときには漢方胃腸薬をふりかけて食べる」といった台詞が登場します。
また、株式会社太田胃散の公式サイトによると
太田胃散は、ケイヒ、チョウジ、ウイキョウ(フェンネル)、チンピ(オレンジピール)、ニクズク(ナツメグ)、ゲンチアナ、ニガキの7種類の生薬と、4種類の制酸剤、消化酵素が主な成分です。
と生薬が紹介されていますが、ケイヒ=シナモン、チョウジ=クローブということからもわかるように、カレーに使われるスパイスがいくつか含まれていることがわかります(ゲンチアナやニガキは苦みがあるため、通常カレーには使われないようです)。
現実的には胃薬はあくまでも胃薬であって、カレーに入れて使うものではありませんが、カレーのスパイスは生薬としての成分を持ち合わせているため、カレーを食べることで胃腸を整える効果が期待できるかもしれません。
とこんな話をしつつ、体づくりに必要な栄養のこと、食事のこと、そして水分補給や筋力トレーニングとも関連づけて話しています。そして話したいことがてんこ盛り過ぎて時間オーバーになったり、質問が多すぎて時間オーバーになったりします。スライドも増やすばかりではなく、厳選していかないとなぁと思う今日この頃です。
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