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【小説】好き好き大好き超愛してる。 (舞城 王太郎)

「愛は祈りだ。僕は祈る」

タイトルで、敬遠する人もいるかもしれない。
当時の芥川賞候補作にあがり、その題名だけで選考委員の某東京都知事を大いにうんざりさせたそうだが、最初の数ページと最後の数ページはいわゆる純粋な恋愛小説としてもオススメできる。

中編に短編が数個挟まるようなトリッキーな構成で、その短編らも突飛だったり、変わった世界観や設定だが、前提からおかしい世界観やお話は割と好物なのでスラスラと読み進め、舞城王太郎の十八番でひたすら主人公の心情主体で進めていく文体が妙に心地良く感じた。

「恋愛とはそういうものなのだ。結果としてどうなったかではなく、ほんの一瞬でも気持ちが通じ合ったかどうかなのだ」
愛するということに美しさや綺麗さを求める人もいるかもしれない。
でもそうではなく、ひたすら純粋に貪欲に誰かを愛することを何も気にせずできるようになる事もあるのだ。
「愛し過ぎていないなら、充分に愛していないのだ」
「愛しすぎるというのはそういうことなのだ。そしてそれぐらいで、人を愛するにはちょうどなのだ」
京極夏彦が「愛は仏教で言うなら執着」と言った事をぼんやりと思い出す。

文庫化で削られた話もある様でいつかそちらも読んでみたい。
愛は祈りだ。俺も祈る。

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