映画『ムーンライト』

ムーンライト

【映画】
MOON LIGHT(原題)
2016年 アメリカ
ヒューマン

これは一人の黒人の男の子が大人になるまでのストーリー。
時代を三つに分けて物語は進んでいきます。

※ネタバレあります。というかこれを読めば大体の内容が分かっちゃいます。ご注意ください。

1.little

同級生に追いかけ回され、やっとの思いで逃げ込んだ真っ暗な家。息を潜めていると突然黒人の大男が窓に貼られたベニヤ板を外からひっぺがして中に入って来る。
安心しろとご飯に連れて行ってくれる。←どう考えても普通じゃないけどね…
この大男はドラッグの売人で名前はフアン。

名前を聞いても住所を聞いても答えない少年。
仕方なく彼女(テレサ)の家へ(同棲してたのかな?)。

ご飯を食べ、テレサに優しくされて少し心を開いた少年は口を開いた。
「シャロン…あだ名はリトル。リバティシティ…」

一晩泊まらせフアンは家に届けるも母親はありがとうとは言ったものの最後のシャロンへのグータッチは拒否。ひどい!

大勢で遊んでたはずのシャロンはその場から離れると後ろを追いかけてきて「イジメられてばかりでいいのか?タフなところをアイツらに見せないと!」と飛び掛かって来る少年。シャロンの唯一の友達と言っていいだろうケヴィンだ。

行き慣れたのかシャロンは再び大男フアンの元へ。
海へ連れて行ってくれて、泳ぎ方まで教えてくれて優しくてお父さんみたい!

そんな安らぎの時間も束の間。

取り引きの場でやらせるな!と言っていたのにすぐそばの車の中でプカプカするナンセンスな客がいた。駆け寄ると運転席には知らないおっちゃんと助手席にはなんとシャロンのお母さんが乗っていた!
「あんたが息子を育てる気なのか!」と食って掛かるママ。
ママの買ってたドラッグの元締めはどうやらフアンだったようだ。

その後の母親の怒鳴り散らす姿と絶望的な音楽が悲しいね。

また逃げ込んできたフアンとテレサの家。
シャロンに「ママに会った」と話すフアン。
「おかまって何?」
「ドラッグを売ってるの?」
「ママはやってるよね?」
質問責めに丁寧に答えるフアン。
辛い現実。

2.Chiron

大きくなったシャロン。おそらく高校生?
ハイスクールだね。
だけど相変わらず一人ぼっち。
話しかけてくる奴はケヴィンぐらい。
女とやってたら大声出すから先生にバレちゃったよ!とかくだらない話ばかりだけど…。

家に戻ればドラッグ漬けでソファにグデんとなりながら「今日はお客が来るからどこかへ行ってて」と息子に告げるママ。
そしてシャロンの行き先は変わらずフアンとテレサの家。

次の日の通学途中、ママが突然走り寄って来て「鍵を忘れたから家に入れない」と言う。ボサボサヘアで目の下にはクマ。
「テレサは元気にしてた?葬式以来会ってないわ。」
ええーーー!!そこで私は気付く…フアンはもう居ないんだってことに!!
それに衝撃を受けてる場合でもなく、ママの言葉と映像がズレててボケてて完全にコイツいかれてるYO!!そう、こういうイカレ具合の映像表現が素晴らしかった。
家の中はグチャグチャ。
「テレサから貰ってるんだろ?」
必要なんだと息子に金をせがむ有り様。
貯めてたであろう有り金を根こそぎ踏んだくられたシャロン。

心の傷を癒しにフアンとも行った場所かな?海へ。
しばらくすると姿を現したのはケヴィン。
葉っぱを勧める。咳き込むかと思いきや意外と上手に吸うシャロン。
どうやら家によく転がってたのを既に嗜んでいたようだ。

波音を聴きながら気分も良くなって…(?)
二人はキスを…(?)
寄り添い…××××××(?)

この流れは完全に(・・?)でした。
全くそーゆう雰囲気は感じ取れなかったので…

学校では小学校の時も居たドレッド頭の同級生がケヴィンに話し掛けていた。獲物を見つけてそいつを殴り倒すという残虐な遊びを持ち掛ける。それをまたやろうと言うのだ。
獲物に選ばれたのはやっぱりシャロン。
殴る役はケヴィン。
最悪だ。

殴るケヴィン。
起き上がるシャロン。
「倒れてろ!」とシャロンに言うケヴィン。
しかしまた起き上がるシャロン。
耐えられず逃げ出すケヴィン。
その他の輩に囲まれボコられるシャロン。

氷のはった洗面ボウルに傷だらけの顔を突っ込む。並々ならぬ面持ちで殺気をプンプン漂わせながら学校へ向かい奴のいる教室へ、ズンズンズンズンまっしぐら。
ドッレド頭目掛けて椅子を振り上げてガシャーーン!!!
椅子から転げ落ちてうずくまるドレッド野郎。
なんとスッキリしたことか!!
でもこれで相手を訴えるどころか自分がパトカーに乗せられちゃったってワケ。

3.Black

大人になった(多分20代前半??)シャロンはムキムキで体もデカくなってた。しかもドラッグの売人に…あの頃のフアンのようだ。

母親は結局ドラッグ漬けで施設に入ってしまったようだ。
庭の中のテーブルで母親と久しぶりの面会。
ママはひたすら「愛してる」を繰り返す。
私がこの映画で一番心に響いたのはこのシーンでこの言葉が特に。

「愛さなくていい…。だって私は必要な時に与えなかったから…。でも愛してる…」
二人は涙を流す。

私の実母もこうゆう風に言ってくれたなら気持ちが楽になったのにな、と自分の人生と照らし合わせる。そして私も涙を流す。

帰る時の哀愁のある曲もGood。

寝ている時、突然鳴った電話はもう何年も会ってなかったケヴィンからだった。
ケヴィンも何かで捕まってその間に料理に目覚めて今はコックをやってるんだと。同級生と結婚して小さい子供もいるけど離婚しっちゃったらしい。で、今は一人。

お店の名前も電話では言ってなかったと思うんだけど何故か見つけ出し速攻行ってみるシャロン。ある意味怖い…

カウンターに座り、シャロンを見つけて驚くケヴィン。
テーブルに移動し、仕事中なのにワインを二人で飲みながら現在について話す。
結局お店閉めるまで過ごし、ケヴィンの家まで行く。

「何で俺に電話して来た?」

「今まで俺に触れたのは一人しかいない」

??!!??!!

あの時のことをシャロンはひと時も忘れてはいなかったのだ。

ケヴィンは驚いたが十分理解したよう。

再びあの時と同じ静寂の時が訪れる。
全てを理解したかのように肩を寄せ合う二人。
心の中で聴こえる波の音。
ゆっくりとした時間が流れていく。

他の人には理解し難いかもしれない。
友情とも恋愛とも違う。
二人には二人だけの特別な感情がそこにはあって、きっとそれは心の拠り所ってやつなんだろうとも思う。

私の心にはあまり刺さらなかったので物足りなさあり。
Hiphopの曲はカッコイイ曲ばかりでした♪

たくさんの賞を総なめにしてる映画なので一度は観てみるのはいいかも。


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